
機械図面のルール(第三角法や線の種類)は勉強したけれど、図面を見ても、それがどんな形の物体なのか、頭の中で立体としてイメージできない……
皆さんは、過去の私のように、
「機械図面を見ても物体を立体としてイメージできない。」
という状態ではないでしょうか?
機械図面はものづくりの原点となる存在です。機械図面を見て物体の形状を理解できないと、設計者や現場の職人さんの話についていくことができませんし、ものづくりの世界ではそもそも仕事になりません。
しかし、初心者にとって「2次元の図面を3次元の立体として捉える」のは、決して簡単なことではありません。文系出身で図面など見たこともなかった私も、入社当時はなかなか立体をイメージすることができず、苦しみました。
そんな私ですが、現在は毎日のように図面を読み、設計者や製造部門と図面の内容について議論できるようになっています。
そして、このような状態になれたのは、「機械図面から立体をイメージするコツ」が分かったからだと実感しています。
そこで、今回は皆さんが機械図面を見て物体の形状を立体としてイメージできるようになるために、私の実体験から辿り着いた「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」を詳しく解説します。
この記事で分かること
「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」が分かる。
そして、
- 機械図面を見て立体をイメージできるようになる
その結果、
- 機械図面に対して苦手意識がなくなる
- 自信を持って図面の内容について設計者や製造部門と議論することができるようになる

文系出身で、現在、プラントエンジニアリング業界の調達部門で勤務しています。自身の苦労した経験をもとに、初心者目線でわかりやすく解説します。ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」の位置付け

本題である「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」を解説する前に、まずはこの記事の立ち位置についてお話ししておきます。
そもそも、機械図面を読めるようになるためには、「2つの関門」を突破する必要があります。
1つ目の関門:機械図面の基本ルール(見方)を理解する
2つ目の関門:機械図面から立体をイメージするコツを掴む
1つ目の関門:機械図面の基本ルール(見方)を理解する
当たり前ですが、文法を知らなければ文章が読めないのと同様で、機械図面のルール(第三角法や線の種類など)を知らなければ機械図面は読めません。
この機械図面のルールについては前回の記事で詳しく解説していますので、内容に不安がある方や、そもそも知らない方は、まず前回の記事(下記)を先にご覧ください。
※本記事は、この機械図面のルール(見方)を理解している前提で進めます。
2つ目の関門:機械図面から立体をイメージするコツを掴む(←本記事のメイン)
実は、ルールを覚えることと同じくらい、この「立体をイメージする力」を身につけることが重要になります。
というのも、私自身、入社したての頃はこの点で本当に苦労した経験があります。
機械図面のルールは勉強したはずなのに、いざ図面を前にすると全く立体が浮かんでこない……。加工業者さんから電話で図面の質問をされても、「確認して折り返します。。」と冷や汗をかきながら答えるのがやっとでした。
ですが、何度も図面と格闘するうちに、少しずつコツのようなものが分かってきました。「なぜ立体をイメージできないのか?」という原因が分かり、それを意識的に解消することで、スムーズに図面が読めるようになりました。
そこでここからは、皆さんが私のような遠回りをせずに、この第2の関門をスルっと突破し、自信を持って機械図面が読めるようになるために、「立体をイメージできない6つの原因」とその対策となる「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」を詳しくお伝えしていきます。
機械図面から立体をイメージする6つのコツ
初心者が「立体をイメージできない6つの原因」と、それぞれの対策となる「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」が下記になります!

- 線が多すぎて物体の輪郭が分からなくなっている
- 角か円か区別がつかない
- ある面の形状が、別方向の面のどれに当たるか分からない
- 配管が多すぎて混乱する
- 複雑すぎて脳のキャパを超えている
- 「お決まりの描き方」をする部品がある
- 物体の輪郭と他の線を区別する
- 中心線を見つける
- 隣接する図の縦、横ラインを確認する
- 系統ごとに色を塗る
- 実物を見る(最重要)
- お決まりの形を知っておく

それでは、順番に解説していきます!!
原因①:線が多すぎて物体の輪郭が分からなくなっている
線が多すぎて物体の輪郭が分からなくなっている
初心者が「図面から立体をイメージできない!」とつまずく最も大きな原因がこれです。
そもそも、立体をイメージするためには、物体の輪郭(外形線)を漏れなく見つけ出し、読み取る必要があります。しかし、初心者の多くは、この認識が無い or 薄いです。
そのような状態で、下図のように、線がたくさん引かれた図面を見るとどうなるか?
初心者は情報量の多さに圧倒され、外形線を漏れなく見つけ出して、読み取ることができず、そのため頭で立体をイメージできなくなります。

おさらいですが、図面には下記のように外形線以外にも多くの線が混在していました。
【図面で使われる主な線の種類】
- 外形線(太い実線): 品物の見える部分の形状を表す、最も重要な線。
- かくれ線(細い破線): 隠れて見えない部分の形状を表す。
- 寸法線・寸法補助線(細い実線): 寸法を示す線。
- 中心線(細い一点鎖線): 円の中心や図形の対称軸を表す。
線の種類については前回の記事で詳しく解説していますので、忘れた方や知らないという方は、まず前回の記事からご覧ください。
そして一応、これらの線は線の太さと線の形状で見分けられるようになっています。
ですが、厄介なことに、会社によっては「線の太さの差」があまりない場合があります。
本来、外形線は太い実線で書くルールですが、使用しているCAD(図面作成ソフト)の設定の問題なのか、線の太さに差がなく、パッと見では線の種類が判別しづらい図面が世の中には多く存在します。
例えば下図は、上にある図面の線の太さの差をなくしたバージョン。さらに見ずらくなったと思います。

このような「線の太さの差」があまりない図面は、さらに、初心者が外形線を探し出す際の障壁になってきます。(私の会社の図面もこのタイプで入社時は苦労しました。。。)
以上のように、「線が多すぎて物体の輪郭が分からなくなっている」ことが原因となり、初心者は立体をイメージすることができません。
こういった原因に対する解決策となるのが、コツ①です!
コツ①:物体の輪郭と他の線を区別する
物体の輪郭と他の線を区別する
意識的に外形線だけを見るようにしましょう。慣れないうちは、以下のステップをお勧めします。
- 図面を紙に印刷する
- 外形線だけを、色つきのペンや鉛筆でなぞる
- 間違えても修正できるよう、フリクションなどの消せるタイプがおすすめ

こうすることで、上図のように、外形線のみを浮かび上がらせることができ、いくら線が多い図面であっても強制的に外形線のみを読み取ることができるようになります。
外形線を見極めるポイントは、「実線の中で、寸法線・寸法補助線ではないもの」を探すことです。
寸法線には必ず「矢印」が付いており、寸法補助線は寸法線とセットになっているため、それら以外の実線を消去法で見つけることで、外形線を探し出すことができます。
また、この方法であれば、線の太さに差が無い図面の会社であっても、問題なく外形線を見つけることできます。

ぜひ、このコツ①をマスターして物体の輪郭を読み取れるようにしましょう!
原因②:角か円か区別がつかない
角か円か区別がつかない
機械図面では外形線がわかっても、それだけでは判別できない形状があります。
それが「角柱」と「円柱」です。
というのも、第三角法では、下図のように真横から見ると角柱も円柱も同じ「四角形」に見えてしまいます。

この「角か円か区別がつかない」という原因も、また、初心者が立体をイメージできなくさせる原因の1つです。
この原因に対する解説策となるのがコツ②になります。
コツ②:中心線を見つける
中心線を見つける
中心線は上述の通り、円の中心や図形の対称軸を表します。
そのため、先ほどの角柱と円柱の見分け方も、この中心線があるか無いかで見分けることができます。

- 中心線がある = 円柱(丸い)
- 中心線がない = 角柱(四角い)
他にも、例えば配管継手のユニオンは機械図面で下図のように描かれますが、中心線があることでユニオンが円形であることが読み取れます。

このように、機械図面では中心線が引かれていることで「円形」であることが読み取れるようになっています。
そのため、中心線を見たら「円形かもしれない」と考えるようにしましょう!
そしてこの中心線が意味する「円形」という情報は、外形線では伝えられない重要な情報であるため、中心線は決して見逃さないようにしましょう!
※注意です!!
中心線は下図のように「図形の対称軸」として使用される場合もあるため、「中心線がある=100%円形」とは限りません。あくまで、「中心線があるから、円形かもしれないな」と疑う程度にし、別方向から見た面の形状を確認するなどして、円形であるかを総合的に判断するようにしましょう!

原因③:ある面の形状が、別方向の面のどれに当たるか分からない
ある面の形状が、別方向の面のどれに当たるか分からない
3次元の立体をイメージするには、正面・側面・底面といった複数の2次元図面を、「頭の中で組み合わせる」必要があります。
この「頭の中で組み合わせる」というのは、要するに「ある面の形状が、別方向の面のどれに当たるかを確認していく作業」のことになります。
例えば、下図のように「正面から見た図のこの線が、右側から見た図のどの部分を表しているか?」という感じです。

しかし、物体の形状が複雑になればなるほど、2次元の複数の図を頭で組み合わせるのは非常に難しくなってしまいます。
この「頭の中で組み合わせる」作業は、初心者である皆さんにとって、単純な形状の物体でも簡単ではなく、複雑な形状になったら、「もう無理だ~」となるはずです(私はそうでした)。
この原因の解決策となるのがコツ③です!
コツ③:隣接する図の縦、横ラインを確認する
隣接する図の縦、横ラインを確認する
第三角法では、複数方向から見て描かれた各図が「縦横の位置が一致するように」配置されています。
そのため、もし皆さんが「この正面図の赤線が右側から見た図のどこを表しているか分からない、、」と迷ったら、
下図のように、「正面図の赤線」に定規などを当てて横にスライドさせてみてください。定規を伸ばした先にある点や線が、対応する箇所になります。

こうすることで、「正面図の赤線」が、「右側から見た図のこの部分」というのが正確に分かるはずです!
ぜひ、このコツ③もマスターしておきましょう!

必要であれば、定規を当て鉛筆などで薄く線を引っ張ってしまうのもありです!
その際は、自分で引いた線と外形線と混同しないよう注意してください。
原因④:配管が多すぎて混乱する
配管が多すぎて混乱する
立体をイメージするなかで手強い強敵となるのが、大量の配管が描かれた機械図面です。
配管は形状に特徴が無いため、配管の本数が増えると、下図のように、どれがどの配管か見分けがつかなくなり、何が何だか訳が分からなくなります。

このような大量の配管が描かれた図面を見やすくして、立体をイメージできるようにさせるのがコツ④です!
コツ④:系統ごとに色を塗る
系統(ライン)ごとに色を塗る
配管が書かれた図面を見たときに、配管の本数が多すぎて「訳が分からん」となったら、具体的に以下の方法を行うようにしましょう!
- 図面を紙に印刷する
- 系統ごとに色を決める(例:冷却水配管は青色、窒素配管は緑色、圧縮空気配管は黄色といった感じ)
- その色で配管を塗りつぶしていく

これを行うだけで、上図のようにどの配管がどの系統の配管か一目で分かるようになり、立体がイメージしやすくなります。

この方法は入社当時から現在もやっている手法で、非常におすすめです!
というか、現在でも、これをしないと複雑な配管図面は読み解けません。
原因⑤:複雑すぎて脳のキャパを超えている
複雑すぎて脳のキャパを超えている
どれだけコツを使っても、巨大な設備や精密な部品の場合、紙の上だけの情報では限界があります。
3次元の立体をイメージするためには、原因③とコツ③でお伝えした通り、第三角法で描かれた複数の図を「頭の中で組み合わせる」必要がありました。
しかし、複雑すぎる物体に対しては、どうしても人間の脳のキャパを超えてしまい、ここまでお伝えしたコツでいくら頑張っても、残念ながら立体としてイメージすることはできません。
そんなときは、無理に頭の中だけで解決しようとせず、次のアクションとしてコツ⑤を実行しましょう!

コツ⑤:実物を見る(最重要)
実物を見る(最重要)
正直に言って、初心者にとって最も効果があるのは、この「コツ⑤:実物を見ること」です。
初心者は「実物を見る」ことで次の効果が得られます。

- 図面では理解不能だった箇所も、実物を見れば一瞬で理解できる
- 一度実物を見たことがあるものは、後から図面で見ても簡単に立体をイメージできるようになる

まさに、「百聞は一見に如かず」です!
そのため、機械図面を見て、「あーこれは脳のキャパを超えてるな」と感じたら、さっさと割り切って実物を見るようにしましょう!
ただし、実物を見るときには、以下のポイントに気を付けるようにしましょう!

- 実物を見る前にあらかじめ機械図面を見て立体をイメージするよう努めること
- 実物の写真を大量に撮る

写真が一枚しかないと「見たいところがちょうど見切れてる(泣)」となることがあるため、あらゆる角度からたくさん撮っておくようにしましょう!
写真については、実物が手元にあるなど、「簡単に見れる」「すぐ見れる」という状況であれば、必要ないかもしれません。
しかし、皆さんの中で以下のような環境で業務をしている人は、必ずたくさん写真を撮っておくことをおすすめします!

- 職場から遠く離れた製作業者の工場や工事現場にしか、実物が無い
- 簡単には入場できない客先の敷地内にしか、実物が無い
- 自社内であっても、離れた場所にあって、往復に時間がかかる場所にしか、実物が無い
こういう環境で働いている方は、再び実物を見に行くのにかかる「手間」も「時間」も非常に大きくなるため、大量の写真を撮っておくことで、効率的に業務を進めましょう!

ちなみに、写真を撮るときはスマホでも、デジカメでもいいですが、
- 客先敷地内はスマホの使用が禁止だったり、
- 現場という過酷な環境でスマホを落として故障する可能性もあるため、
1台くらいはデジカメを持っておくといいです!
※現場用のデジカメについて
現場用のデジカメは何といっても頑丈な物がおすすめです。というのも、私は現場でデジカメを落としてデータを飛ばし、半泣きになったことがあります……。
そのため、現場という肉体的にも精神的に過酷な環境では、故障の心配がいらないデジカメを強くおすすめします!
デジカメが無い方、どれを選べばいいか分からない方は、この「WG-90」を選んでおけば間違いないです。
WG-90は、上のリンクから飛んで、見てもらえれば分かりますが、衝撃に強く、また雨や埃にも強い、コスパに優れたカメラになります。
そしてなんといっても、現場では、みんなこのカメラを使ってます笑(現場で見かけるカメラ No.1です)
そのため、変な物を買って失敗したくない人とっては、WG-90 を買っておきましょう!
※ちなみに、WG-90 はWG-80(下記リンク) の後継機です。ですが、WG-90 とWG-80 であまり性能に違いはありませんので、WG-80 が市場に在庫があるうちは、WG-80 でも問題ありません。
原因⑥:「お決まりの描き方」をする部品がある

「お決まりの描き方」をする部品がある
機械図面の中には、初心者の皆さんが見ると、「これって何が描かれているの」となる「お決まりの描き方」をする部品があります。
こういった部品を知らないと、そこでイメージがストップしてしまいます。
そのため、コツ⑥:お決まりの形を知っておくようにしましょう!
コツ⑥:お決まりの形を知っておく
お決まりの形を知っておく
初心者が特に惑わされやすい「初見殺し」の代表例が「ネジ」と「軸受」です。
ネジ
- 下図のようにネジ山は一つひとつ描かず、簡略化された線で描かれます。
- この形状を図面で見たら「ネジだな」と思うようにしましょう!

軸受(ベアリング)
- 軸受の断面図では、下図のような形状で描かれます。
- 初心者の多くはこの形状を見ても、「これはベアリングだ」と分かる人は少ないと思います。
- この形状を図面で見たら「ベアリングだな」と思うようにしましょう!


これらは「そういう記号なんだ」と割り切って覚えてしまいましょう。これを知っているだけで、図面の理解スピードが格段に上がります!
まとめ
今回は、機械図面を見て物体の形状を立体としてイメージできるようになるために、私の実体験から辿り着いた「機械図面から立体をイメージする6つのコツ」を解説しました!
上記の内容を理解しておくことで、必ず、機械図面を見て立体をイメージできるようになってきます!そしてその結果、皆さんは、機械図面に対して苦手意識がなくなり、自信を持って図面の内容について設計者や製造部門と議論することができるようになるはずです!
ただし、最初は時間がかかるかもしれません。ですが、ぜひ焦らず、まずは手元の図面をペンでなぞることから始めてみましょう!そして、「もう無理!」となったら、割り切って実物を見に行くようにしましょう!必ず皆さんのお役に立つはずです!
今後も、機械図面の中の溶接記号の詳細だったり、配管の系統図についても解説していく予定ですので、ぜひこれからも一緒に学んでいきましょう!


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