
プラントの「配管工事」って、いったいどんな工事なんだろう?
誰が、いつ、どこで、何を、何のために、どのように行う工事なんだろう?

プラントの「配管工事」って、具体的にどんな手順で進められていくんだろう?
具体的な工程がよく分かっていない。。。
皆さんは、上にある過去の私のように、
「プラントの配管工事が、いったいどのような工事なのか理解できていない」
という状態ではないでしょうか?
プラントにおける「配管」は、(後ほど詳しく説明しますが、)プラント全体に原料やユーティリティを隅々まで送り届ける、いわば「血管」としての役割を果たします。
そして「配管工事」は、その血管を安全かつ確実につなぎ合わせ、プラントという巨大な体に命を吹き込む極めて重要な工事です。
また、実際のプラント建設において「配管」は、全体の資材量や工事費用のうち非常に大きな割合を占め、工程の要(かなめ)でもあり、配管工事の進捗がプラント全体の完成時期を左右するといっても過言ではありません。
だからこそ、プラントエンジニアリング業界で働くすべての人にとって、「配管工事とはどのような内容の工事なのか?」「どのような手順で進められていくのか?」という、配管工事の全体像を理解しておくことは、絶対に欠かせない必須の知識といえます。
そこで本記事では、皆さんがプラントの配管工事がいったいどのような工事なのかを理解できるよう、プラントの配管工事の5W1Hを解説するともに、工事の具体的な手順(工程)を解説します!
この記事で分かること
- プラントの配管工事がどのような工事なのかが理解できる
- プラントの配管工事の具体的な手順(工程)が分かる
そして、
- プラントの配管工事の全体像が分かり、今後より詳細な知識を学んでいくための土台ができる。
その結果、
- 体系的にプラントの配管工事の知識を身に着けることができるようになり、より短期間で、社内外の技術者から信頼され、対等な議論ができるようになる

文系出身で、現在は設備メーカーの調達部門として建設工事の後方支援を行い、新人の頃には工事現場に修行に出されていた武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
プラントの配管工事とは?
プラントの配管工事とは、
プラント内の設備同士を配管で繋ぎ、原料やユーティリティーを供給・排出できるようにする工事

簡単に言えば、「据え付けた設備を実際に動かせる状態にするための工事」ということです。

ただ、これを見ても、なかなかイメージしづらいですよね。
そこでまずは、プラントの配管工事の全体像を掴むために、5W1H(なぜ・いつ・誰が・どこで・何を・どのように)の観点から深掘りして解説していきます。
- Why:なぜ配管工事を行うのか?
- When:いつ配管工事を行うのか?
- Who:誰が配管工事を行うのか?
- Where:どこで配管工事が行われるのか?
- What:配管工事ではどんな配管を作り上げるのか?
- How:配管工事ではどのように配管を作り上げるのか?

「そもそもプラントって何?」という方は、こちらの記事でプラントとは何かを解説していますので、ぜひご覧ください!
「ユーティリティってなんだ?初めて聞いた!」という方は、こちらの記事でユーティリティとは何かを解説していますので、ぜひご覧ください!
なぜ配管工事を行うのか(why)
プラントの配管工事が行われる最大の理由は、「設備を稼働させるため」です。
設備はただ地面にポンと置かれた(据え付けられた)だけでは、まったく機能しません。設置された設備を稼働させるには、設備を以下の状態にする必要があります。
- 設備へ原料を供給し、設備から製品・副産物を排出できる状態
- 設備へユーティリティを供給し、設備からユーティリティを排出できる状態

それぞれについて順番に説明します。
1.設備へ原料を供給し、設備から製品・副産物を排出できる状態
プラントの役割は、原料に何らかの処理を行って製品を製造することです。
そのためには、まず設備に「原料」を供給しなければなりません。そして設備内で処理が行われて「製品」が製造されたら、それを設備外へ排出する必要があります。また、製造過程で必ずと言っていいほど発生する「副産物」や「ゴミ」も設備の外へ出さなければなりません。

2.設備へユーティリティを供給し、設備からユーティリティを排出できる状態
設備を動かすための資源やエネルギーのことを「ユーティリティ」と呼びます。水、電気、圧縮空気、不活性ガス、蒸気、燃料などがこれに該当します。
設備は設置されただけでは動きません。車がガソリン(燃料)を使って走り、マフラーから排気ガスを出すのと同じように、プラントの設備にもユーティリティを供給し、使用済みのものを排出する必要があります。

つまり設備を稼働させるには、ユーティリティ・原料・製品・副産物を「設備へ運び込み、設備から運び出す道」が必要になります。そして、これらのうち、流体(液体や気体)の形をしたものを運ぶ道となるのが「配管」であり、設備を稼働できる状態にするために配管をつなぎこむのが「配管工事」なのです。


※ちなみに、流体ではない固体形状のもの(石炭や鉱石など)は、配管ではなく搬送設備(ベルトコンベヤやローラーコンベアなど)で運ばれます。
配管は血管!設備は臓器!
冒頭で、配管を人間の「血管」に例えましたが、まさにこのイメージ通りです。
血管が体中に酸素や栄養を届け、不要になった二酸化炭素や老廃物を運び去っているように、配管は原料やユーティリティを設備へ届け、製品や副産物、使用済みのユーティリティを設備から運び去っています。
設備という一つひとつの「臓器」に、配管という「血管」が張り巡らされることで、プラントは初めて一つの生命体のように稼働できるようになるのです。

いつ配管工事を行うのか(when)
配管工事が行われるタイミングは、工事の状況(新設・増設・改造)によって異なります。ここでは、読者の皆さんが初めて現場に出たときのために、プラント建設工事全体の流れも交えて説明します。
1.プラントを新設する場合(まっさらな土地に建てる場合)
全体の流れ:土木・建築工事 → 機械据付工事 → 配管工事 → 配線工事 → 試運転
(建物の基礎を作り、そこに機械を置き、配管をつなぎ、電気を通し、最後に動かしてテストする流れ)


上記の通り、配管工事はメインとなる設備(機械)が据え付けられた「後」に行われます。
「土木・建築工事→機械据付工事→配管工事→配線工事→試運転」というプラントを新設するときの全体の流れについては、こちらの記事で図解を用いて分かりやすく解説しています。ぜひご覧ください!
誰が配管工事を行うのか(who)
配管工事は、大きく分けて「管理する人」と「実際に作業する人」のタッグで行われます。
- 現場監督(管理する人):配管をつなぎこむ設備の設計・製作・納入を行うエンジニアリング企業または設備メーカーの技術者(SV:Super Visor、「エスブイ」、「スーパーバイザー」と呼ばれることもある)
- 工事業者(実際に作業する人):現場監督の指揮のもと、専門のスキルを持った「配管工事専門の工事業者(配管工、溶接工、とび職など)」が実作業を行います。


SVが持つ設備に関する高度な知識と、職人さんが持つ高度な技術が合わさってはじめて配管工事を行うことができます!
エンジニアリング企業や設備メーカーはプラントエンジニアリングに登場する6種類の登場人物の二つです。詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください!
どこで配管工事が行われるのか(where)
「配管工事=プラントの現場でひたすらパイプを溶接する」と思っていませんか?実は、配管工事は主に「2か所」で行われます。
- 工場(製作ヤード)
- 設備が設置されている現地の現場
配管は現地ですべてゼロから切ったり溶接したりするわけではありません。あらかじめ工事業者の工場(製作ヤード)で、トラックで運べるくらいのサイズに組み立てておきます。そして、それを現地に運び込んでパズルのように組み立て・接続していくのです。
このように、「工場での製作」と「現地での組み立て・接続」という2つの場所をまたいで工事が進むのが特徴です。

配管工事ではどのような配管を作り上げるのか(what)
一口に「配管」と言っても、ただの筒ではありません。配管は主に以下のような「配管部品」の組み合わせで構成されています。
- パイプ(流体が通る管そのもの)
- 継手・フランジ(パイプ同士のつなぎ目や方向を変える部品)
- バルブ(流体の量を調節したり止めたりする蛇口のような部品)
- 計器類(温度や圧力を測るメーター)
- 配管支持材(重い配管が落ちないように支える金具や架台)

また、上記の部品の材質は、流体の種類や使用環境によって変わります。
例えばパイプ一つとっても、「SUS(ステンレス鋼管)」、「SGP(配管用炭素鋼鋼管)」、「STPG(圧力配管用炭素鋼鋼管)」など、さまざまな種類がありますが、エンジニアリング企業や設備メーカーの配管設計者はその配管を流れる流体の性質や圧力・温度条件に応じて、最適な材質を図面で指定します。
そして、工事業者はその図面指示通りに配管を作り上げていきます。
SUS、SGP、STPGといったパイプの材質や、配管において超重要な「呼び径」については、こちらの記事で解説しています!「何それ?知らない、、」という方は確実に確認しておきましょう!
配管工事ではどのように配管を作り上げるのか(how)
配管工事において、絶対に守らなければならない最低条件は次の通りです。
「流体が漏れない配管を作り上げること」
この最低条件をクリアしたうえで、さらに以下の3つを満たすように作り上げていきます。
- 安全性
- 例:人が通る通路や作業スペースを塞がないような配管ルートを検討
- 操作性
- 例:作業員がバルブを開け閉めしやすい高さや位置
- メンテナンス性
- 例:将来修理や交換がしやすい構造

実際に配管を施工する際には、上記の安全性、操作性、メンテナンス性を高めるために、現場の職人さんたちは、本当にたくさんの工夫を行っています!まさにプロの仕事と言える、職人さんたちの工夫については別記事で詳しく解説します!

以上がプラントの配管工事の5W1Hでした!配管工事の全体像がある程度見えてきたのではないでしょうか?
次は配管工事の工程を見ていきます!
配管工事の具体的な手順(工程)
ここからは、プラントの配管工事が具体的にどのような手順(工程)で進められていくのかを解説します。
先ほど「いつ配管工事を行うのか」でお伝えした通り、プラントに据え付けた設備(機械)は単体では機能を発揮しません。基本的には機械据付が終わった後、「配管工事 → 配線工事 → 試運転」という流れで工事が進んでいきます。
その中の「配管工事」自体の手順をこれから説明していきますが、「配管工事」は大きく分けて以下の8つのステップで進みます。
- 図面確認
- 施工計画の立案
- 材料調達
- プレハブ配管製作
- 現地施工
- フラッシング
- リークテスト
- 塗装

それぞれ順番に、図を用いて分かりやすく解説していきます!

ちなみに1,2,3,4までのステップは現地での配管工事が始まる前の準備段階としてやっておく工程になります。つまり、機械据付工事が完了後にすぐ「5.現地施工」がスタートできるよう、1,2,3,4までのステップを事前に進めているということをご承知おきください!
1. 図面確認
【作業の目的】
- 施工する配管の全体像を把握すること。
- この工程をしっかり行うことで、後工程に進んでからの手戻りを防ぐことができる。
【作業内容】
- 配管図面を見て、次の内容を確認する。
- 「施工する配管の範囲と物量」
- 「調達する材料の種類と数」
- 「図面に不備はないか」
- 上記を確認するときは、配管図面にはいくつか種類があるため、目的によって使い分ける。
- 主な配管図面:「P&ID(配管計装図)」、「配管配置図」、「アイソメ図」

各図面の「概要」「その図面で分かること」「その図面で分からないこと」「使う場面」は、以下の通りです!
P&ID(配管計装図)

概要:
- 配管を「1本の線(単線)」でシンプルに描いた図面(縮尺や実際の長さは無視)。
- ポンプなどの「機器」、すべての「バルブ」、圧力計などの「計器」、自動制御の「信号線」が記号で描かれる。
分かること:
- 「何から何へ流体が流れるか」というプロセスのつながり。
- バルブや計器の種類、配管の口径(サイズ)、材質、保温の有無など。
分からないこと:
- 実際の現場で「どの空間・どの高さ」を通っているかの物理的な位置。
- 実際の長さや細かい曲がり具合。
使う場面:
- プラント全体の仕組みや運転・制御を考えるとき。
- 安全検討(「圧力が上がったらどう止まるか」など)を行うとき。
配管配置図

概要:
- 正確な「縮尺(例:1/50や1/100)」で描かれた図面。
- 建屋の柱や鉄骨、大型機器が実寸の比率で配置され、その中を配管がどのルートで通るか描かれる。
分かること:
- 現場のどこにどの機器が置かれ、配管がどのスペースを通るか。
- 他の配管や鉄骨とぶつかっていないか(干渉チェック)。メンテナンススペースの有無。
分からないこと:
- 計器の詳細な制御ロジックや、配管内部の詳細な仕様。
使う場面:
- 実際に現場で据付工事をするとき。「ここに配管を通せるか?」とレイアウトを検討・調整するとき。
アイソメ図

概要:
- 配管1系統を「斜め上から見た立体的な1本の線」で描いた図面。
- 縮尺は正確ではありませんが、「長さ(L寸法)」の数字がびっしり書き込まれており、溶接箇所やエルボ(曲り)、ティー(分岐)、バルブの位置が立体的に分かる。
分かること:
- その配管の「正確な長さ」「曲げの角度」「継手の数」。
- 「どこをどう切って組み立てるか」の立体的な形状。
分からないこと:
- 周囲の建物や他の系統の配管との全体的な位置関係。
使う場面:
- 工場で配管を加工(切断・曲げ・溶接)してプレハブ配管を製作するとき。
- 現場での施工図として。
配管の改造工事は現場確認が必須!
図面確認のみでは情報が不足する場合は、現地へ行って確認しましょう。
特に「改造工事」の場合、図面で描かれた配管の状態と現地の配管の状態が一致していないことがよくあります。

10年前に描かれた配管図面の情報を信じて、いざ改造工事を実施しようとしたら、現地の配管が図面と全然異なる形状をしていて、予定通り工事が進まなかった、、ということはざらにあります。
そうならないためにも事前に現地で状況を確認しておきましょう!

2. 施工計画の立案
【作業の目的】
- 図面と現地確認の結果を踏まえて、配管工事の「施工計画」を立案する
- ここで綿密な計画を立てることで、工事の品質確保、コスト管理、工期遵守、安全確保を実現することができる
【作業内容】
- 図面の内容と現地確認の結果を踏まえて、以下の内容を計画する
- 現地での配管工事には、どのような重機や機材を使用するか?
- 施工する配管のうち、どの部分を「プレハブ配管(事前製作)」とし、どの部分を「現地施工」とするか?
- プレハブ配管製作と現地施工のそれぞれの所要日数・所要人員は?
- リークテストはどのような方法で行うか?
- 現地工事で出る産廃の量と、その処理方法は?

- 施工計画が出来上がったら、「何をいつまでに行うのか」がひと目で分かる工程表を作成する
- どのタイミングでどの資材を現地へ搬入するのかも、ここで明確にしておく
3. 材料調達
【作業の目的】
- 配管工事に必要な材料や資機材を調達する
- この工程で材料を適切に調達することで、配管工事全体の品質、コスト、納期を向上させることができる
【作業内容】
- ①(設備の設計、製作、納入を行う)エンジニアリング企業または設備メーカーと、②工事業者とで役割分担をして配管工事に必要な材料や資機材を調達する。
- ①エンジニアリング企業または設備メーカーが調達するもの
バルブ、計器類、特殊な配管部品 など - ②工事業者が調達するもの
施工用の重機・機材(レンタル)、パッキン等のシール材、継手、フランジ、パイプ など
なぜこのように役割分担するの?
なぜこのように役割分担するかというと、基本的には次の二つの考えで役割分担が行われている。
- 「どちらが安く調達できるか」
- 「設備に関する専門知識が必要か」
パイプやフランジなどは工事業者の方が安く仕入れるルートを持っていることが多く、逆に設備固有の専門知識が必要なバルブや計器類は、エンジニアリング企業が手配することが多いです。

役割分担の方法については、会社によってルールが異なる場合があります。ですが、上記の役割分担の考え方は知っておきましょう!
4. プレハブ配管製作


「プレハブ」とは、「事前に作る」という意味です。
つまり、「プレハブ配管」は「(工事の)事前に作る配管」のことです。
「プレハブ配管」は「プレ配管」とも言われます。
【作業の目的】
- 「プレハブ配管」を製作する
- すべての配管を現地で作るのではなく、事前に製作可能な部分は、環境の整った工場であらかじめ作っておくことで、下記のメリットを受けられる
プレハブ製作のメリット
現地での作業量が減るため「工期短縮」「人員削減(コスト削減)」につながる。また、環境が整った工場で製作するため、溶接などの「品質(漏れリスク低減)」や「製作効率」が劇的に向上する。
- 一方、プレハブ配管を製作することで、下記のデメリットも存在する
プレハブ製作のデメリット
いざ、現地でプレハブ配管を組付けようとした際、現地の寸法と合わずに組み付かないリスクがある。そのため、100%すべてをプレハブ化することはできない。

いくらプレ配管を正確に作ったつもりでも、現地で組み立てると必ず寸法が合わない箇所が出てきます。

- 上記のメリット、デメリットを踏まえると、以下のような配管はなるべくプレ配管として製作すべき
- 高度な溶接品質や厳密な検査が求められる配管
- 工事現場よりも正確に溶接が行えるため
- 現場での作業環境が悪い(危険が伴う)場所の配管
- 現場で製作する場合、高所作業をしないといけないような場所にある配管は事前に工場で製作しておくことが望ましい
- 大口径・厚肉の配管
- 工事現場では設備が整っておらず製作が困難になるため
- 形状が複雑な配管・分岐が多い配管(ヘッダー管など)
- 工事現場での製作では、時間も余計にかかり、ミスが起こる可能性も増える
- 定型化された配管(リピート品)
- 工事現場ではなく、工場であれば治具を使用して製作することで、非常に短時間で効率的に製作することが可能。
【作業内容】
- 前工程調達した、定尺のパイプを図面通りの寸法の配管になるよう切断し、フランジや継手、バルブなどを接続していく
- 配管の接続方法は主に以下の方法で行われる
- フランジ接続
- 溶接接続
- ネジ接続


配管の接続方法(フランジ接続・溶接接続・ネジ接続など)については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください!
5. 現地施工

【作業の目的】
- プレハブ配管や現地施工用の配管材料、資機材を現地へ搬入し、設備へ配管を取り付ける
- この工程で、配管を図面通りの形に仕上げる
【作業内容】
- プレハブ配管を設備に取り付けつつ、寸法誤差を吸収するための「現地施工分の配管」を現場で寸法を測りながら製作・接続していく
- 同時に、重たい配管を支える「配管支持材」の設置と配管の固定を行う。

実際に配管を組み立てていくと、「寸法に誤差があってつなげたいところに配管がつながらない!」といったトラブルがよく発生します。
そんなときの具体的な対処法については、別の記事で詳細を解説していく予定です!
6. フラッシング
【作業の目的】
- 配管内の鉄粉や溶接のカス(スパッタ)、ゴミなどの異物を除去する
- 配管内に異物が残った状態で流体を流すと、異物が計器類や設備に張り込み、一発で故障してしまう

「フラッシング」=「配管内の鉄粉や溶接のカス(スパッタ)、ゴミなどの異物を除去する作業」です。
【作業内容】
- コンプレッサーで作った強力な「圧縮空気」や「水」を配管内に勢いよく流し込み、内部のゴミを外へ吹き飛ばす
- 圧縮空気を使う場合は「騒音」が発生する。また、非常に速いスピードで配管から異物の飛び出すため、安全に注意する
- 水を使う場合は、汚れた水が排出されるため、工事関係者と汚水の廃棄方法を事前に調整しておく必要あり


配管を切断したり溶接したりすると、管内には必ず鉄粉やゴミが残ります。(時にはウエスや手袋が配管内に残されたままになっていることも…!)
手袋が飛び出てきたことがあります、、、
7. リークテスト
【作業の目的】
- 配管に漏れが無いか確認する
- この工程で配管に存在する漏れ箇所の特定と補修を行い、絶対に漏れの無い配管を作り上げる

配管工事を行うと、どうしても目に見えない漏れ箇所が発生することがあります。
規模の大きい配管工事の場合、ほぼ確実にどこかしら漏れるため、リークテストは重要な工程です。
【作業内容】
- リークテストには主に以下の4つの方法があり、状況に応じて最適な方法を選んだり、組み合わせたりして実施する
圧力変化による漏れ試験
配管にガスを充填して圧力を計測し、一定時間放置した後に再度圧力を計測します。圧力が下がっていれば「どこかから漏れている」ことが定量的に分かります。(※漏れ箇所の特定はできません。配管内を真空にして変化を見る方法もあります)

ヘリウム漏れ検査
配管内を真空にし、外側からヘリウムガスを吹き付けます。漏れがあれば、配管内に入り込んだヘリウムを「ディテクター」という機器が検知します。ヘリウムは非常に小さい原子のため、極めて微細な穴でも発見できる超高精度の検査です。

- 漏れが見つかれば補修を行い、再度テストを実施する。「漏れが完全にゼロ」になるまでこれを繰り返す。
8. 塗装

リークテストに無事合格したら、最終仕上げの「塗装」です。
【作業の目的】
- 配管を錆や腐食から保護すること
- 配管内を流れる流体の種類をひと目で識別できるようにすること
【作業内容】
- 配管表面に塗装を行う
- 塗装は、基本的に錆止め塗料で下塗りをした後、指定の色で上塗りを行う
- 上塗りで塗装する色は、顧客の工場やプラントのルールで決められた色を塗る
- 例えば、「窒素は緑」「水は青」「水素は赤」といった形で定められている
塗装色の指定方法:マンセル値
顧客の工場やプラントでは、以下のように流体ごとに配管の色が決められています。
- 「窒素 緑色 2.5G 6.5/10」
- 「冷却水 青色 6PB 3/8」
- 「水素 赤色 5R 4/14」
この「2.5G 6.5/10」「6PB 3/8」「5R 4/14」は「マンセル値」と呼ばれます。
なぜこの「マンセル値」が記載されているかというと、マンセル値は、色を「色相(色み)」「明度(明るさ)」「彩度(鮮やかさ)」という3つの数値で表す方法であり、これを使うことで、誰が見ても同じ色を正確に伝えることができるためです。
逆に「薄い青」のような、人によって感じ方が違うあいまいな表現で塗装色を指定すると、いざ塗装が完了したときに、「イメージしていた色と違う、、」ということが起こりえます
そのため、工業の世界で色を指定する時は、マンセル値を伝えることが一般的です。
💡 塗装のタイミングに関する注意点
塗装自体はプレハブ製作以降のどのタイミングで行っても構いませんが、「溶接部などの漏れる可能性のある場所」は必ずリークテスト終了後に塗装します。 リークテストの前に塗料でコーティングしてしまうと、漏れ箇所の発見が難しくなるためです。

まとめ
今回は、皆さんが皆さんがプラントの配管工事がいったいどのような工事なのかを理解できるよう、プラントの配管工事の5W1Hを解説するともに、工事の具体的な手順(工程)を解説しました!
〇プラントの配管工事とは?
- プラントの配管工事とは、
設備に命を吹き込む「血管(配管)」をつなぎ、原料やユーティリティを供給・排出できるようにする工事 - Why:なぜ配管工事を行うのか?
- 設備を稼働させるため。
- When:いつ配管工事を行うのか?
- 機械据付工事のあと。
- Who:誰が配管工事を行うのか?
- エンジニアリング会社や設備メーカーの監督指揮のもと、配管工事専門の工事業者が行う。
- Where:どこで配管工事が行われるのか?
- 工場(プレ配管)と工事現場の2か所。
- What:配管工事ではどんな配管を作り上げるのか?
- パイプ、継手、フランジ、バルブ、計器類、配管支持材などで構成された配管。
- How:配管工事ではどのように配管を作り上げるのか?
- 絶対に漏れず、安全・操作・メンテナンス性を考慮して作り上げる。
〇機械据付工事の具体的な手順(工程)
- 配管工事の具体的な手順(工程)
- 図面確認(P&ID・配管配置図・アイソメ図で全体像と物量を把握)
- 施工計画の立案(人員・重機・日程の計画と工程表作成)
- 材料調達(エンジニアリング企業と工事業者で役割分担して手配)
- プレハブ配管製作(工場で運びやすいサイズに事前組み立て)
- 現地施工(現場での据付、寸法調整、支持材への固定)
- フラッシング(配管の中の異物を吹き飛ばす)
- リークテスト(漏れがないか厳密に検査し、補修する)
- 塗装(錆止めと、流体を識別するためのマンセル値指定の塗装)
上記の内容を理解しておくことで、プラントの配管工事の全体像が分かり、今後より詳細な知識を学んでいくための土台ができあがります。そして、現場に出たときに「あ、今やっているのはプレハブの現地据付だな」「次はフラッシングをやるんだな」と、点と点の知識が線で繋がるようになります。
その結果、皆さんは、体系的にプラントの配管工事の知識を身に着けることができるようになり、より短期間で、社内外の技術者から信頼され、対等な議論ができるようになります!
今回は配管工事の全体像と大まかな工程の流れを解説しましたが、今後はより具体的な配管の施工方法についても解説していきます!ぜひ一緒に学んでいきましょう!











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