
「機械据付工事」って、いったいどんな工事を指しているんだろう?
「機械を設置する工事」っていう意味であってるのかな?

「機械据付工事」って、具体的にどんな手順で進められていくんだろう?
具体的な工程がよく分かっていない。。。
皆さんは、上にある過去の私のように、
「機械据付工事とは、いったいどのような工事なのか理解できていない」
という状態ではないでしょうか?
「機械据付工事」は、プラントを建設する時には必ず行われる工事であり、設備を正常に稼働させるために非常に重要な役割を果たします。
そんな「機械据付工事」がどのような内容の工事を指しているのか?また、どのような手順で工事が進められていくのか?を理解しておくことは、プラントエンジニアリング業界で働く人にとって必須の知識といえます。
そこで本記事では、皆さんが機械据付工事とはいったいどのような工事なのかを理解できるよう、機械据付工事とは何か(定義)と、工事の具体的な手順(工程)を分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 機械の据付工事とは何か(定義)が分かる
- 機械の据付工事の具体的な手順(工程)が分かる
そして、
- 機械の据付工事がどのような工事か理解でき、今後学んでいく知識の土台ができる
その結果、
- 体系的に機械据付工事の知識を身に着けることができるようになり、より短期間で、社内外の技術者から信頼され、対等な議論ができるようになる

文系出身で、現在は設備メーカーの調達部門として建設工事の後方支援を行い、新人の頃には工事現場に修行に出されていた武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
機械据付工事とは?(定義)

早速ですが、機械据付工事の定義をお伝えします。
機械据付工事とは、設備を正しい位置に設置する工事
上記が定義となりますが、これだけだと少し漠然としていて、なかなか具体的なイメージがしづらいですよね。
そこで、皆さんがよりクリアに理解できるよう、以下の5W1H(6つの疑問)に沿って機械据付工事の輪郭をもう少し深掘りしていきます!
- What:どんな設備を設置するのか
- Why:なぜ機械据付工事を行うのか
- When:いつ機械据付工事を行うのか
- Where:どこで機械据付工事は行われるのか
- How:どのように設備を設置するのか
- Who:誰が機械据付工事を行うのか
それぞれ順番に見ていきましょう。
どんな設備を設置するのか(What)
機械据付工事では、文字通り「機械設備」の設置を行います。
例えば、「機械設備」の例として以下のようなものが挙げられます。
- 自動車を製造する工場のロボットアーム
- 鉄鋼を製造するプラントの巨大な圧延機
- 食品メーカーの物流を担うローラーコンベア

もちろん設備によってサイズはバラバラで、大きいものだとビルくらいの大きさになる巨大な設備を設置することもあります。
ただし、全ての「機械設備」が対象となるわけではありません。
原則として、以下のような機械設備は機械据付工事には含まれません。
すでに工場で完成している機械を現場に搬入し、ただ置くだけ(あるいは転倒防止のアンカーボルトを打つだけ)の作業で設置が完了する機械設備
機械据付工事の対象となるのは、以下のような機械設備です。
現場で複数の部品や機械を組み立てて連動させたり、建物の躯体(くたい)にしっかりと固定して工作物の一部として一体化させたりする作業が伴う機械設備

そのため、例えば冷蔵庫や電子レンジをキッチンに設置する作業は機械据付工事とは言いません。
なぜ機械据付工事を行うのか(Why)
機械据付工事が行われる最大の理由は、「設備を稼働できる状態にするため」です。
そもそも設備を稼働できる状態にするためには、以下のステップを踏む必要があります。
- 設備を決められた場所に設置する
- 設備に配管や配線をつなげる
(材料、ユーティリティー、電力を供給・排出できるようにし、設備を動かせる状態にする) - 設備が正しく安全に動くか確認する

これらがすべて完了して、初めて設備を稼働できる状態にすることができます。
そして、機械据付工事は、上記のステップのうち、「1.設備を決められた場所に設置する」を担う工事として実行されます。
つまり、機械据付工事は最終目標である「設備を稼働できる状態にする」ために、「設備を決められた場所に設置する」役割を果たしている工事なのです。
ちなみに、その他のステップを担う工事は、下記のとおりです。
- 設備を決められた場所に設置する
- 機械据付工事
- 設備に配管や配線をつなげる
(材料、ユーティリティー、電力を供給・排出できるようにし、設備を動かせる状態にする)- 配管工事、配線工事
- 設備が正しく安全に動くか確認する
- 試運転

また、工場やプラントそのものを新しく作るときなど、そもそも設備を設置する場所が無いときには、「設備を設置するための場所を作る工事」として土木・建築工事が機械据付工事の前に行われます。
いつ機械据付工事を行うのか(When)
機械据付工事は、「設備を稼働できる状態にする」ために行われる工事であるため、以下のようなときに行われます。
そして上記が行われるときの全体のスケジュールは、「設備を稼動できる状態にする」ために、以下のようになります。
- 工場やプラントを新しく作るとき
- 「土木・建築工事 → 機械据付工事 → 配管工事 → 配線工事 → 試運転」
- 既にある工場やプラントに新しい設備を導入(更新・増設)するとき
- 「機械据付工事 → 配管工事 → 配線工事 → 試運転」
まず、工場やプラントを新しく作るときは、そもそも設備を設置する場所自体が無いため、まず設備を設置する場所を作る必要があります。そのため、土木・建築工事で土地や建物を完成させてから機械据付工事が行われます。

一方、既にある工場やプラントに新しい設備を導入する時は、基本的に既に設備を設置する場所が存在するため、土木・建築工事は行わず、機械据付工事から始まることが多いです。
まとめると、上記のタイミングで機械据付工事は行われ、その後は配管工事、配線工事、試運転へバトンタッチされて、「設備を稼働できる状態に」していきます。
「プラントを新しく作る建設工事が土木・建築工事 → 機械据付工事 → 配管工事 → 配線工事 → 試運転という流れで進んでいくとあるが、いまいちイメージ出来ない」という方は、こちらの記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください!
どこで機械据付工事は行われるのか(Where)
機械据付工事は、機械設備の最終的な設置場所となる、顧客が指定する工場内やプラント内の工事現場で行われます。
どのように設備を設置するのか(How)
機械据付工事では、「設備の設計者が指定した場所に正確に設置する」必要があります。
ここでいう「正確」とは、縦・横・高さ(X・Y・Z軸)の配置位置はもちろんのこと、設備の「傾き具合(水平・垂直)」も図面で指定された状態にピタリと調整して設置するということです。

なぜそこまでシビアなのかというと、指定された場所に正確に設置されないと、設備本来の機能が十分に発揮されない可能性があるためです。
例えばローラーコンベアを設置する場合を考えてみてください。
- 位置が不正確でコンベア同士に隙間が空いている → 物がうまく乗り移れず落下する
- 傾きが不正確でコンベア自体が傾いている → 物がまっすぐ搬送されず、ラインが詰まる

このようなトラブルを防ぐため、機械据付工事では極めて高い精度が求められます。

要求される正確さは設備によっても異なりますが、私が所属する会社が納入するプラント設備の場合は「ミリ単位(あるいはそれ以下)」で合わせる必要があります。
誰が機械据付工事を行うのか(Who)

機械据付工事は、主に以下2つの職種の人たちが協力して工事が行われています。
- 現場監督(指揮):設備の設計・製作・納入を行うエンジニアリング企業や設備メーカーの技術者(SV:Super Visor、スーパーバイザーと呼ばれることもある)
- 工事業者:現場監督の指揮のもと、実際に作業を行う機械の重量物搬入や据付を専門とする工事業者

メーカーのSVが持つ設備に関する高度な知識と、職人さんが持つ高度な技術が合わさってはじめて機械据付工事を行うことができます!
エンジニアリング企業や設備メーカーはプラントエンジニアリングに登場する6種類の登場人物の二つです。詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください!
【重要】混乱しないための補足!「機械据付工事」という言葉が指す範囲について
皆さんが耳にする「機械据付工事」という言葉は、実は人や会社によって少し曖昧に使われることがあります。というのも人や会社よって広義の意味として使っている場合と狭義の意味として使っている場合があるからです。
- 広義の意味:機械設備の設置後、配管や配線の繋ぎ込みをし、その後の試運転まで行い、機械が機能を発揮できる状態にする「一連の工事すべて」を指す場合。
- 狭義の意味:純粋に「機械設備を決められた場所に正確に設置する工程だけ」を指す場合。
混乱にしないように前置きしておきますが、本サイトでは後者(狭義の意味:機械の設置工程のみ)として解説を進めていきます。

配管工事や配線工事については、それぞれ別の専用記事で詳しく解説していきますので、ぜひそちらも併せてご覧ください!
機械据付工事の具体的な手順(工程)
ではここからは、機械据付工事が具体的にどのような手順(工程)で進められていくのかについて解説していきます!
早速ですが、機械据付工事の具体的な手順は以下の通りです。
各工程における「作業の目的」「作業内容」をまとめましたので。一つづつ詳しく見ていきましょう!
また、ところどころで皆さんの「知っておくべきポイント」もお伝えしていきますので、あわせてご確認ください!

ちなみに、上記の工程の中で最初の1.と2.については、厳密には工事が始まる前に行われる内容ですが、ぜひ皆さんに知っておいていただきたい重要な工程ですので、こちらの内容もしっかり解説していきます!
現地調査(工事前に実施)

■作業の目的
- 機械据付工事を行うにあたっての、その現場特有な「工事条件」を確認すること。
- ここで「工事条件」を漏れなく確認することで、次の工程である「施工計画の立案」ができるようになる。
■作業内容
- 機械据付工事を開始する前に、図面だけでは分からない現場の状況を、実際に足を運んで確認する
- また現地で工事関係者(顧客、現場監督、工事業者など)と打ち合わせを実施し、事前に確認すべき点を確認しておく
- 具体的には以下の内容を確認する
~確認項目~
設置場所・搬入経路・作業エリア・仮設ハウスについての確認
- 設備の搬入経路上に障害物が無いかを確認
- 設置場所には、天井クレーンなど使用可能な重機が備え付けられているか?それは使用可能か?
- 工事期間中、どのくらいの広さの作業スペース、資材置き場が確保できるか?
- 工事用電源(溶接などに使用する電源)、仮設ハウス用電源は供給されるか?
- 仮設ハウスを建てられるようなスペースはあるか?
工事現場特有のルールの確認
- 重量物の搬入は土日限定か?
- 既存の工場やプラントで工事を行う場合、従業員の安全面や稼働状況を配慮して、大型設備の搬入を土日限定とする場合がある。
- 入構教育(安全教育)はあるか?
- 工事開始前に顧客や現場監督が指定する安全教育の受講が必須の場合がある
- 作業員の通勤車両の駐車場はどこか?
- 工場やプラント構内の道路に一方通行の道路は無いか?
- 工事現場付近で昼食は確保できるか?
- 工事を始めるにあたっての提出書類があるか?
- 火気(かき)作業時の安全ルールの確認。
- 火気作業:火の出る作業のこと。アーク溶接やガス切断、グラインダー作業など。
■知っておくべきポイント
- 現地調査時は、なるべく写真をたくさん残しておくこと!
- 写真を残しておくことで、現場の状態を時間がたっても振り返ることができるため非常に有効。
- 逆に写真を残していないと、大体月日が経つと忘れてしまう。
- また、写真が見切れていて確認したいところが確認できないということも多いため、なるべくいろいろな角度から、たくさんの写真を撮っておきましょう。

ちなみに、写真を撮るときはスマホでも、デジカメでもいいですが、
- 顧客敷地内はスマホの使用が禁止だったり、
- 現場という過酷な環境でスマホを落として故障する可能性もあるため、
1台くらいはデジカメを持っておくといいです!
※現場用のデジカメについて
現場用のデジカメは何といっても頑丈な物がおすすめです。というのも、私は現場でデジカメを落としてデータを飛ばし、半泣きになったことがあります……。
そのため、現場という肉体的にも精神的に過酷な環境では、故障の心配がいらないデジカメを強くおすすめします!
デジカメが無い方、どれを選べばいいか分からない方は、この「WG-90」を選んでおけば間違いないです。
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そしてなんといっても、現場では、みんなこのカメラを使ってます笑
(現場で見かけるカメラ No.1です)
そのため、変な物を買って失敗したくない人は、WG-90 を買っておきましょう!
施工計画の立案(工事前に実施)

■作業の目的
- 工事を安全に、確実に、効率的に完了させるための計画を立てる
- ここで綿密な施工計画を立てることで、工事の品質確保、コスト管理、工期遵守、安全確保を実現することができる。
■作業内容
1.「搬入される設備の状態」を確認
- 工事で設置する設備が現場にどういう状態で運搬されるのかを確認
- 確認事項の例:
- 運搬される設備の大きさと重量、重心の位置
- 運搬される設備にはどの部品が付いてきて、どの部品が外されてくるのか
- 運搬される設備にはクレーンの吊り具を掛けられるような箇所があるか など

2.施工方法の検討
- 現地調査で確認した「工事条件」と1.で確認した「搬入される設備の状態」を考慮して、より安全で、より品質が高く、より安価で、より短納期になるような施工計画を立案する。
- 施工計画では、各工程の作業方法、必要な重機、必要な段取り(準備)、所要日数、所要人員などを明確にする。
3.工程表作成
- 現地調査で確認した「工事条件」と、検討した施工計画を踏まえて、何をいつ行うかが分かる工程表を作成する。
- どのタイミングでどの物資(設置する設備や工事用の資材など)を工事現場へ搬入するかも決めておく。

ハウス建方(たてかた)


ここからいよいよ実際に機械据付工事がスタートします!
ちなみに、ハウスを建てる工程を「ハウス建方(たてかた)」と言います。私が新人の時もなんでこんな言い方をするんだろうと疑問に思いましたが、建設業の世界では一般的な呼び方らしいです。
【作業の目的】
- 工事を行う作業員が休憩したり、日々の打合せを行う場となる仮設ハウスを建てる。
【作業内容】
- 現場内の指定された空きスペースに、作業員の人数に見合ったサイズの仮設ハウスを組み立てる。
- ハウスの設置が終わると、ハウス内に設置する備品(机や椅子、ホワイトボードなど)の搬入を行うとともに、ハウスに電気をつなぐ。
- (ハウス用電源の確保については現地調査時に工事関係者と調整しておく)。
- 作業員10名程度が収容できる小型のハウスであれば、半日もかからず設置は完了する。
【知っておくべきポイント】
- 仮設ハウスやハウス内の備品(机やエアコンなど)は、リース会社と契約して、工事期間中レンタルするのが一般的。
- 工事現場によって、ハウスを設置するスペースがなかったり、ハウスの代わりとなる休憩室を顧客が用意してくれる場合があるが、その場合はハウス建方は行われない。
レベル確認


【作業の目的】
- あらかじめ設備を設置する場所(基礎)のレベル(=高さや傾きのこと)を確認し、設備をそのまま設置して問題ないか確認する。
- この工程で設置場所の高さや傾きが図面からどの程度の誤差になっているかを把握しておくことで、スムーズに後工程の「芯出し」が行える。
【作業内容】
- 測量機器(オートレベルなど)を使用して、設置場所の基礎コンクリート上の複数地点のレベルを計測する。
- 図のように、複数地点を計測することで、それぞれの地点の高さが分かるとともに、基礎コンクリートがどのように傾いているかが分かる。
- ここで測ったデータをもとに、後述の「芯出し」工程での「シムプレート」を用いた調整が行われる。

土木・建築工事業者が作った基礎コンクリートは、一見平らに見えても数ミリの誤差があるのが普通です。この事前のレベル確認をサボると、いざ設備を置いた後に「全然水平にならない!」と焦ることになります
墨打ち

【作業の目的】
- 設備を設置する場所の床(基礎)に、位置の基準(目印)となる線を引く。
- この工程で設備の設置場所に線を引いておくことで、後工程の「搬入」「芯出し」で「設備をどこに設置したらいいか分からない」となることを防ぐことができる。
【作業内容】
- 基準となる場所(建物の柱など)から鋼尺やコンベックス等で距離を測定し、図面通りの位置に線を引く。
- 線を引くときには、「墨ツボ」と呼ばれる測定工具を使用する。
- 線は、図のように、設備の「前面(まえづら)」や「芯」の位置に引いていく。
【知っておくべきポイント】

「芯」「心」について
- 「芯(しん)」や「心(しん)」は、物体の「中心」や「中心線」のことを指す
- 設備や建築の世界では、配管や設備にはそれぞれ「太さ」や「厚み」があるため、上図のように端や外側を基準にすると寸法がズレてしまう
- そのため、厚みに左右されない「ど真ん中(=芯)」を基準にするのが絶対のルール
- また、上図のように設備の位置を図面上で示すときは、柱を基準に決められていることが一般的。


後工程で出てくる「芯だし」という工程も、
「設置した設備の芯を正確に出す」という意味であり、
要するに、「設備を図面通りの正確な位置になるように調整して設置する」工程です。
「面」について
- 「面(ツラ)」は物体の「表面や端面」を指す現場用語
- そのため、「設備の前面(まえづら)を墨に合わせる」とは、「設備の正面の面を墨打ちした線に合わせる」という意味

よく距離を測るときに「芯芯(しんしん)で測って」「面面(ツラツラ)で測って」と言われますが、そんなときは下図の距離を計測するようにしましょう!

搬入準備

【作業の目的】
- 設備を搬入するのに必要な準備を行う
- この工程を行うことで、設備を安全に、かつ現場を傷つけずに搬入できるようになる。
【作業内容】

現場の状況によって実際に行う準備はそのつど異なりますが、主に行われる準備を紹介します!
- 搬入経路上の障害物となるようなものをあらかじめ撤去する
- 段差や急な坂がある場合は、フラットになるようなステージを設置する
- ←後工程の「コロ引き」が行えるように
- 屋内の現場など床面を傷つけるとまずい場所では、床面の養生を行う。(鉄板やベニヤ板、ブルーシートなどを敷く)
- 重量の大きい設備を搬入する際には、床面を傷つける恐れがある。
- ピットダウン(地下へ下ろす作業)する場合には下図のように門型クレーン等の搬入用の重機を設置する。

搬入
【作業の目的】
- 設備を実際の設置場所へ搬入する
【作業内容】

搬入方法も、現場の状況によって変わってきますが、大型設備の搬入でよく行われる作業の流れを解説します
- 設備をトレーラーやトラック等で工事現場の設置場所付近まで運搬する
- 設置場所付近でラフタークレーンやフォークリフトなどの重機を使用して、車両の荷台から設備の荷下ろしを行う
- 荷降ろし時に設備をチルローラー(図参照)と呼ばれる台車のような物に乗せて、設置場所まで「コロ引き」を行う
- 「コロ引き」とは、チルローラーなどの台車に設備を載せて、人力で押したり、ウインチで引っ張ったり、フォークリフトなどで押したりして、運搬する方法。
- 「コロ引き」は、重量物の運搬方法としてよく行われる方法
- 車両の荷台からそのままラフタークレーンやフォークリフトで設置場所に直接荷下ろしする場合もある(←最も簡単なパターン)
- 設置場所まで運べたらジャッキ等を使用して設備を持ち上げてチルローラーを抜き、設置場所に仮置きする



【知っておくべきポイント】

機械据付工事において、トレーラーなどの車両から大型の設備を荷降ろしする際には、ラフタークレーンを使用することが多いです。
そんなラフタークレーンのようにジブ(腕)を持つクレーンには、「作業半径」という概念が存在します。
クレーンの作業半径について

- クレーンで物を吊り上げる時、図のようにクレーンの旋回中心から吊り上げる物の重心までの距離を作業半径という。
- 作業半径が大きいほどクレーンが吊り上げることのできる重量は小さくなる

- また、同じ作業半径であっても図のように、アウトリガーの張り出しが小さいと、吊り上げることのできる重量はより小さくなる
- アウトリガーの張り出しがどの程度で、作業半径がどのくらいの距離の時に、どの程度の重量を吊り上げられるかは、クレーンの性能によって異なり、確認するには各クレーンの「定格総荷重表(性能表)」を参照する必要がある
- タダノのラフタークレーンの定格総荷重表のリンク

上記のようにクレーンには作業半径という概念があるため、機械据付工事では、現場の状況や設備の重量を考慮して、使用するクレーンの性能を選択する必要があります。
もちろん、性能の高いクレーンを使用すると、それだけクレーンの手配にかかる費用も増大するため、最適な性能のクレーンを選択することが求められます。
使用クレーンの検討例
- 例えば、下図のように作業スペースに制限があり、設備を吊り上げる場所から遠く離れた場所にしかクレーンをセットできない場合、作業半径が大きくなる
- その結果、設備の重量に対して現在のクレーンでは能力不足となり、より大型のクレーン(25t→50t→70tクラスなど)を手配しなければならなくなる。

- また、下図のように、スペースの都合でアウトリガを「最大張出」にできず「中間張出」にした場合、クレーンが踏ん張る力が弱くなるため、吊れる重量が激減する。
- その結果、より大型のクレーンを手配する必要が出てくる

芯だし
【作業の目的】
- 設備を図面通りの位置に「正確に」設置する。
- 「正確に」とは、縦・横・高さ(X・Y・Z軸)の配置位置はもちろんのこと、設備の「傾き具合(水平・垂直)」も図面で指定された状態にピタリと調整して設置するということ。
- この工程により、設備が正常に動作できるようになる。
【作業内容】
- 「搬入」工程により設置位置に仮置きされた設備が墨打ちした位置に来るように、位置を微調整する(←X・Y軸(縦横)の位置調整)
- 設備の位置を確認する時には、図のように下げ振りやレーザー墨出し器を使用することが多い

- X・Y軸(縦横)の位置調整が完了後、設備が図面指示通りの高さや傾き(多くの場合は水平)になるよう、シムプレートを使用して、調整を行う。(←Z軸(高さ)と傾きの位置調整)
- シムプレート=薄い金属板、スペーサーやライナーと呼ばれることもある

- シムプレートは、図のように設備の脚部に差し込んで、かさ上げを行い、設備の高さや傾きを調整することができる。
- シムプレートによる調整は、「レベル確認」工程で確認した基礎のレベルのデータを参考にしながら調整を行う。

- 縦・横・高さ・傾きの正確な位置が出せたら、設備を基礎にしっかりと固定する。
- 固定する方法①:アンカーボルトを設備と基礎を固定する
- 固定する方法②:設置場所の床面が金属の場合は、溶接を行い、設備を固定する


「どのように設備を設置するのか(How)」でも解説しましたが、設備の芯出しを怠ると、設備の機能が十分に発揮されません。
また、芯出しの精度が悪いと、設備の異常な振動が発生し、騒音や部品の破損を引き起こします。そのため機械据付工事の中でも非常に重要な工程といえます!
付帯設備搬入・芯だし

【作業の目的】
- メインの設備のほかに付帯設備(モーターや制御盤など)がある場合は、その搬入・芯出しを行う。
- この工程によりメイン設備を稼動させるために必要な付帯設備の全てを決められた位置へ設置する。

大型の設備の場合は、必ずと言っていいほど、付帯設備として、ポンプや制御盤、前後工程の設備などが存在します。そして、メイン設備を稼動させるためにも、それら付帯設備を全て正しい位置に設置する必要があります!
【作業内容】
メイン設備と同様の手順で搬入し、位置やレベルを合わせて芯だしを行う。
【知っておきたいポイント】
今回は、「メイン設備の搬入・芯出し」→「付帯設備の搬入・芯出し」の順番で解説していますが、設備や工事現場の状況によっては、その順番が入れ替わることもありますので、ご承知おきください!
付属部品組付け

【作業の目的】
- 輸送時に取り外していた部品の取り付けを行う
- この工程で、設備を本来あるべき形に戻す
【作業内容】
- 取り外していた部品を芯出し済みの設備に取り付ける。
- 取り付け方法としては、ボルトによる取り付けや溶接による取り付けがある。
【知っておきたいポイント】
どのような部品が取り外されているか?
設備を工事現場へ輸送する際には、主に以下の3つのような部品は設備から取り外されることが多いです。
- 輸送時の揺れで破損の恐れがある部品
- 例:センサー等の精密部品、断熱材などの脆い部品
- 搬入・芯出し工程で邪魔になる部品
- 例:クレーンの吊具をかける際に邪魔になる場所に取り付けられている部品
- 例:搬入経路上の障害物に干渉してしまう部品
- 法的または物理的な輸送限界からはみ出る部品
- 例:法令で規定される積荷の上限サイズをはみ出る部品
- 例:船舶等で運搬する時のコンテナサイズからはみ出る部品

上記のような部品は設備から取り外して別梱包で輸送されることが多いです。
一方、やたらめったら部品を取り外して輸送すると、輸送費用がかさむとともに、工事現場での取り付け作業を増やすことにつながります。
そのため、その部品を取り外すか否かは、「部品の破損リスク」、「工事現場への影響」、「輸送費用」を総合的に考慮して、最適な方法を見つける必要があります!
タッチアップ塗装
【作業の目的】
- 工事現場への運搬、搬入、芯出しで塗装が剥げた箇所の塗装のやり直しを行う。
- この工程により、設備の美観を保つとともに、塗装の剝がれにより設備が劣化をすることを防ぐ。
- 塗装が剥がれ下地が露出していると、その場所からサビや腐食が進行する。
- サビや腐食が進行すると設備の強度低下や故障の原因になる
【作業内容】
- 搬入や芯だし作業の際に玉掛けワイヤーが擦れて設備の塗装が剥げた場所や、固定のための溶接により焦げた場所を、ハケやスプレーで塗装しなおす(補修塗装)

どんなに慎重に作業しても、重量物を扱う以上、多少の傷は避けられません。多少の傷は発生するものと考えて、タッチアップ塗装を行う段取りは怠らないようにしましょう!
以上で、機械据付工事の工程は終了となります。
通常この後は、「→配管工事 → 配線工事 → 試運転」が行われて「設備を稼働できる状態にする」ためのステップが進められていきます。
そして、試運転が完了し、設備が稼働できる状態になるとようやく顧客へ引き渡し(納入)が行われるという流れです。
今回は、機械据付工事について詳しく解説しましたが、配管工事や配線工事、試運転についても別記事でそれぞれ詳細を解説していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
まとめ
今回は、皆さんが機械据付工事とはいったいどのような工事なのかが理解できるよう、機械据付工事とは何か(定義)と、工事の具体的な手順(工程)を解説しました!
〇機械据付工事とは?(定義)
機械据付工事とは、設備を正しい位置に設置する工事
- What:どんな設備を設置するのか
- Why:なぜ機械据付工事を行うのか
- When:いつ機械据付工事を行うのか
- Where:どこで機械据付工事は行われるのか
- How:どのように設備を設置するのか
- 設備の設計者が指定した場所に正確に設置する
- Who:誰が機械据付工事を行うのか
- 現場監督(指揮):設備の設計・製作・納入を行うエンジニアリング企業や設備メーカーの技術者(SV:Super Visor、スーパーバイザーと呼ばれることもある)
- 工事業者:現場監督の指揮のもと、実際に作業を行う機械の重量物搬入や据付を専門とする工事業者
〇機械据付工事の具体的な手順(工程)
- 現地調査
- 施工計画の立案
- ハウス建方
- レベル確認
- 墨打ち
- 搬入準備
- 搬入
- 芯出し
- 付帯設備搬入・芯出し
- 付属部品組付け
- タッチアップ塗装
上記の内容を理解しておくことで、機械の据付工事がどのような工事か理解でき、今後学んでいく知識の土台が出来上がります。そして、今後学んでいく知識が点ではなく、線でつながるようになります。
その結果、皆さんは、体系的に機械据付工事の知識を身に着けることができるようになり、より短期間で、社内外の技術者から信頼され、対等な議論ができるようになります!
今回は各工程の内容を簡単にしか説明できてませんが、各工程で行われるの作業内容の詳細についても別記事で解説していく予定です!また、今回は機械据付工事の内容をお伝えしましたが、今後は、「配管工事」「配線工事」「試運転」の内容についてもそれぞれ解説していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!






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