
配管のフランジって種類とかないの?
フランジだったら何でも使っていいの?

図面に「10kフランジ」って書いてあるけど、これ何?
フランジとは、パイプやバルブなどをボルト・ナットで接続するために使用する配管部品です。
また、配管を接続するだけでなく、点検や部品交換の際に、配管の一部を取り外しやすくする重要な役割もあります。
ただし、フランジにはさまざまな種類やサイズがあり、どんなフランジでも自由に使えるわけではありません。
例えば、図面やカタログで見かける「50A」「10K」といった表記も、フランジの仕様を理解するための重要な情報です。
そこで本記事では、フランジの形状・使い方・役割から、初心者がまず押さえておきたい「種類」「呼び径」「呼び圧力」の3つの要素、さらにフランジを接続するときの確認ポイントまで、写真や図解を使って分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- フランジの形状・使い方・役割が分かる。
- フランジで押さえておくべき3要素の「種類」「呼び径(50Aなど)」「呼び圧力(10Kなど)」が分かる。
- フランジを接続するときの確認ポイントが分かる。
そして、
- 「差し込み溶接式・50A・JIS 10K」などの表記から、フランジの基本的な仕様を読み取れるようになる
- フランジの接続には、呼び径・呼び圧力以外にも確認すべき条件があることを理解できる
その結果、
- 配管図面やカタログを確認するときに、フランジの仕様を理解しやすくなる
- バルブ交換などのメンテナンスでフランジが必要な理由や、接続時に注意すべき点がわかる

文系出身で現在プラントエンジニアリング業界で働いている武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
フランジとは?形状・使い方・役割を解説
フランジの種類や規格について解説する前に、まずはフランジがどのような部品なのかを確認しましょう。
ここでは「形状」「使用方法」「役割」の3つに分けて解説します。
すでにフランジの基本を理解している方は、見出し「フランジを決める3つの要素」まで読み飛ばしていただいても大丈夫です。
フランジの形状
フランジは、一般的に下の写真のような円盤状の部分を持つ配管部品です。

基本的な形状の特徴は以下のとおりです。
- 中央の穴:パイプを取り付ける部分で、内部を流体が通る穴
- 周囲の穴:フランジ同士を接続するときにボルトを通す穴
ただし、フランジにはさまざまな種類があり、中央に穴が開いていない「閉止フランジ」もあります。
これらの種類については、後半の「フランジの種類」で詳しく解説します。

フランジは写真のような板状の部品のことを指しますが、これ単体では使えません。ほかの部品と組み合わせて使用します!
フランジの使用方法
フランジは、基本的に以下の手順で使用します。
①パイプにフランジを取り付ける
- まず、パイプの端にフランジを取り付ける
- フランジの種類によって、溶接で取り付けるものや、ねじ込んで取り付けるものがある
- また、下図のようにバルブや継手など、最初からフランジが付いている配管部品もある
②フランジ同士をボルト・ナットで接続する
- 次に、接続する2つのフランジを向かい合わせ、ボルト・ナットで締め付けて固定する。
- このとき、通常はフランジの間に「ガスケット」と呼ばれる部品を挟む。
- ガスケットとは、接続部分から水や空気などの流体が漏れるのを防ぐための部品。現場では「パッキン」と呼ばれることもある。



このように、フランジはパイプやバルブなどを接続するために使われます。
フランジの役割
フランジには、大きく分けて2つの役割があります。
- 配管やバルブなどを接続する
- 配管の一部を取り外しやすくする
それぞれ解説します。
1つ目は、配管同士や、配管とバルブなどの部品を接続する役割です。
先ほど説明したように、フランジ同士をボルト・ナットで固定することで、配管や部品をつなぐことができます。
配管をつなぐという意味では、エルボやソケットなどの「継手」と似た役割を持っています。継手について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
2つ目は、メンテナンスや部品交換の際に、配管の一部を取り外しやすくする役割です。
こちらはフランジの重要な特徴なので、図を使って説明します。

例えば、図Aのような配管で、バルブが故障したとします。
図Aのように途中に取り外せる接続部分がないと、バルブを交換するために周囲の配管を分解するか、一部を切断しなければなりません。

一方、図Bのようにフランジを設けておけば、フランジ部分のボルト・ナットを外すことで、配管の接続を分離できます。
そのため、配管全体を分解せずにバルブを交換しやすくなります。
このようにフランジは、将来の点検・修理・部品交換などで取り外す可能性がある場所で重要な役割を果たします。
なお、同じように配管の一部を取り外しやすくする部品として「ユニオン」という継手もあります。ユニオンについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
バルブの種類や接続方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください!
フランジを決める3つの要素
ここからは、フランジの種類や規格について解説していきます。
フランジにはさまざまな種類やサイズがあるため、どんなフランジでも自由に使えるわけではありません。
そこで、初心者の方にまず押さえていただきたいのが、次の3つの要素です。
- 種類:パイプへの取り付け方法や用途による違い
- 呼び径:フランジのサイズを表す呼び名
- 呼び圧力:フランジの圧力の等級を表す区分

そして、フランジを選ぶ際には、この3要素を確認することが基本です。
例えば、
「差し込み溶接式(種類)・50A(呼び径)・JIS 10k(呼び圧力)のフランジ」
というような感じです。

今は「何のことかよく分からない……」という方もいると思いますが、ご安心ください!
これから3つの要素を順番に解説していきます。
フランジを決める3つの要素①:種類
1つ目は「種類」です。
フランジには、下図のようにさまざまな種類があり、主にパイプへの取り付け方法や用途によって形状が異なります。

そして、設計者は、使用する配管の条件に合わせて、適切な種類のフランジを選んでいます。
ただし、初心者の皆さんがすべての種類を覚える必要はありません。
ここでは、まず知っておきたい代表的な4種類を紹介します!
- 差し込み溶接式フランジ
- 突き合わせ溶接式フランジ
- ねじ込み式フランジ
- 閉止フランジ
差し込み溶接式フランジ


- フランジ中央の穴にパイプを差し込み、溶接して固定する方式。
- パイプを差し込んで溶接する、比較的シンプルな取り付け構造が特徴。

私の会社の現場では、ほとんどが差し込み溶接式フランジで、何か特別な理由があるときだけ、別の種類のフランジを使用しているイメージです。
突き合わせ溶接式フランジ

- 図のように、フランジの中央にある盛り上がった部分の先端と、パイプの端を突き合わせて溶接する。
- 溶接する部分には、必要に応じて「開先加工(かいさきかこう)」を施す。開先加工とは、溶接する部分に溝や傾斜をつける加工のこと。
- 差し込み溶接式と比べて、溶接部の強度や信頼性を確保しやすく、高温・高圧などの配管にも使用される。
ねじ込み式フランジ


- フランジ中央の穴に「めねじ」が加工されており、先端に「おねじ」を加工したパイプをねじ込んで取り付ける。
- JISのねじ込み式フランジには、「管用テーパねじ」が使用される。
- 溶接せずにパイプへ取り付けられることが特徴。
- ただし、ねじ接続部から流体が漏れるおそれがあるため、振動が大きい配管や高温・高圧の配管などでは、使用が制限される場合がある。
「管用テーパーねじってなんだ?」という方は、こちらの記事で解説していますので、ぜひご確認ください!
閉止フランジ


- 図のように、中央の穴が開いていないフランジ
- パイプは取り付けず、接続相手のフランジにボルト・ナットで固定する。
- 配管の端や、タンク・機器などの接続口をふさぐために使用する。

現場では、「めくらフランジ」と言ったりもします
補足:座面形状の種類(FF・RF)
ここまで、パイプへの取り付け方法や用途によるフランジの「種類」を紹介しました。
実は、フランジにはもう1つ、知っておきたい形状の違いがあります。
それが「座面」の形状です。
座面とは、フランジを接続するときに、ガスケットが接する面のことです。
座面にもいくつか種類がありますが、ここでは代表的な「FF」と「RF」の2種類を紹介します。

FF(フラットフェイス)
- 図のように、フランジの接続面が平らになっている形状。
- FFは「Flat Face」の略。

RF(レイズドフェイス)
- 図のように、フランジの接続面のうち、ボルト穴より内側の部分が一段高くなっている形状。
- RFは「Raised Face」の略。
- 一段高くなった部分でガスケットを挟み、締め付ける構造になっている。


このように、同じフランジでも、ガスケットが接する面の形状が異なることを覚えておきましょう。
フランジを決める3つの要素②:呼び径
2つ目は「呼び径」です。
まずは、呼び径について簡単におさらいしましょう!
- 「呼び径」とは、パイプの太さを表す呼び名で、「15A」「20A」「25A」「50A」などがある。
- 呼び径の数字が大きいほど、パイプも太くなる。例えば、15Aのパイプより20Aのパイプの方が太い。
- 呼び径はサイズを区別するための呼び名であり、数字がパイプの実際の直径を表しているわけではない。
「そもそも呼び径って何?」という方は、こちらの記事で呼び径について詳しく解説しておりますので、ご確認ください。
「呼び径」は配管を理解するうえで必須の知識になりますので、必ず理解しておきましょう!
「呼び径」についておさらいできたところで、それではフランジの話に戻ります。
実は、フランジもパイプと同じように「呼び径」でサイズが区別されています。
例えば、「15Aのフランジ」「50Aのフランジ」「80Aのフランジ」といった具合です。
そして、パイプに取り付けるフランジは、基本的にパイプの呼び径に合わせて選びます。

例えば、
- 15Aのパイプには、15Aのフランジ
- 50Aのパイプには、50Aのフランジ
- 80Aのパイプには、80Aのフランジ
を使用します。
つまり、フランジの「呼び径」とは、そのフランジがどの太さのパイプに対応するかを表す基本的な情報なのです。
フランジを決める3つの要素③:呼び圧力
3つ目は「呼び圧力」です。
呼び圧力を簡単に説明すると以下になります。
- 呼び圧力とは、フランジがどのくらいの圧力に対応できるかを区分した等級(クラス)のこと。
- この等級はJIS規格やアメリカの規格など、それぞれの規格で定められている。

「なんだか、よくわからない」という方が多いと思いますので、皆さんが今後、接する機会が多いと思われるJIS規格の「呼び圧力」を例に説明していきます!

JIS規格では、呼び圧力を「○K」という形で表します。
例えば、5K・10K・16K・20K・30Kなどがあります。
そして、基本的には、
呼び圧力の数字が大きいほど、より高い圧力に対応する等級となります。
では、呼び圧力が違うと、フランジの形状はどのように変わるのでしょうか?
例として、呼び径が同じ100Aの「JIS 5Kフランジ」と「JIS 10Kフランジ」を比較してみます。どちらも100Aなので100Aのパイプを取り付けることは可能ですが、下図のような違いがあります。

- 10Kフランジの方が外径が10mm大きい
- 10Kフランジの方が厚さが2mm大きい
- ボルト穴中心径(PCD)が10mm大きい
※PCDはボルト穴の位置を示す寸法
要するに、5Kフランジよりも10Kフランジの方が、高い圧力に耐えられ、フランジも大きく、ごつい!
このように、呼び径が同じ100Aでも、呼び圧力が違うとフランジの寸法が異なる場合があります。
つまり、呼び圧力は、フランジの圧力の等級を表すだけでなく、寸法を決めるうえでも重要な要素なのです。
ただし、呼び圧力については1つ注意点があります。
例えば、同じ「10K」のフランジでも、実際に使用できる圧力は必ずしも同じではありません。
フランジの材質や使用する温度などによって、使用できる圧力は変わります。
そのため、「10K」は圧力の等級を表す呼び名であり、実際に使用できる圧力そのものを表しているわけではないことを覚えておきましょう。

「10Kフランジ」だから「1.0MPaの圧力に耐えられる!」というわけでは無く、フランジの材質や使用温度などの要因によって、耐えられる圧力は変わるということです!
なお、呼び圧力の表し方は規格によって異なります。
JISでは「10K」「20K」などと表しますが、アメリカのASME規格などでは「Class 150」「Class 300」といった呼び方が使われます。一方、「呼び圧力」の概念自体はどの規格でも一緒です。
そのため、まずはJISフランジで使われる「○K」の意味を理解しておけば十分です。
フランジを接続するときの確認ポイント
ここまで、フランジを決める3つの要素である「種類」「呼び径」「呼び圧力」について解説してきました。
さて、フランジは2枚を向かい合わせ、ボルト・ナットで接続するものでした。
では、この2枚のフランジは、どんなフランジ同士でも接続できるのでしょうか?
実は、そうではありません。
フランジ同士を接続する際は、基本的に「呼び径」と「呼び圧力」が同じものを組み合わせます。
例えば、呼び圧力が同じ「JIS 10K」のフランジでも、50Aと100Aではフランジの大きさやボルト穴の位置・数が異なるため、そのまま接続することはできません。

また、先ほど紹介した「JIS 5K・100A」と「JIS 10K・100A」のフランジも、呼び径は同じですが、呼び圧力が異なるため、ボルト穴の位置が異なり、そのままでは接続できません。

このように、フランジを接続するときには、まず「呼び径」と「呼び圧力」を確認することが重要なのです。
ただし、呼び径・呼び圧力が同じであれば、必ず使用できるというわけではありません。
例えば、ボルト穴が一致してフランジ同士を固定できたとしても、その組み合わせで安全に使用できるとは限りません。
実際にフランジを接続するときには、主に次の3つのポイントを確認する必要があります。
- 呼び径・呼び圧力:接続する2つのフランジのサイズや圧力の等級を確認する。
- 座面とガスケット:FF・RFなどの座面形状や、使用するガスケットの組み合わせに問題がないか確認する。
- 使用条件:フランジの材質や、配管内を流れる流体の圧力・温度などに問題がないか確認する。
このように、フランジを接続するときには、呼び径・呼び圧力を確認することが基本です。
ただし、呼び径・呼び圧力が同じであっても、それだけで使用できるとは限りません。
座面やガスケット、使用する圧力・温度などの条件も確認することが重要です。
まとめ
今回は、フランジの形状・使い方・役割から、フランジを決める3つの要素である「種類」「呼び径」「呼び圧力」、そしてフランジを接続するときの確認ポイントまで解説しました。
〇フランジの形状・使い方・役割
- 形状
- 一般的には円盤状の部品で、中央にはパイプを取り付ける穴、周囲にはボルトを通す穴がある。
- 使用方法
- ①パイプにフランジを取り付ける。
- ②2枚のフランジの間にガスケットを挟み、ボルト・ナットで接続する。
- ガスケットは、接続部分から流体が漏れるのを防ぐための部品。
- 役割
- パイプやバルブなどの配管部品を接続する。
- ボルト・ナットを外すことで、配管の一部を取り外しやすくし、点検や部品交換を容易にする。

〇フランジを決める3つの要素①:種類
フランジには、主に次のような種類がある
- 差し込み溶接式フランジ
- フランジの中央にパイプを差し込み、溶接して取り付ける。
- 突き合わせ溶接式フランジ
- フランジとパイプの端を突き合わせて溶接する。
- 溶接部の強度や信頼性を確保しやすく、高温・高圧の配管などにも使用される。
- ねじ込み式フランジ
- パイプとフランジを管用テーパねじで接続する。
- 溶接が不要だが、振動が大きい配管や高温・高圧の配管などでは使用が制限される場合がある。
- 閉止フランジ
- 中央に穴が開いておらず、配管の端や機器の接続口をふさぐために使用する。
また、フランジの座面形状には、主に次のようなものがある
- FF(フラットフェイス):フランジの接続面が平らになっている形状。
- RF(レイズドフェイス):ボルト穴より内側の部分が一段高くなっている形状。
〇フランジを決める3つの要素②:呼び径
- フランジのサイズを表す呼び名で、「15A」「50A」「100A」などがある。
- 基本的に、取り付けるパイプと同じ呼び径のフランジを使用する。
- 例えば、50Aのパイプには50Aに対応したフランジを使用する。
〇フランジを決める3つの要素③:呼び圧力
- フランジがどのくらいの圧力に対応できるかを区分した等級(クラス)のこと。
- JIS規格では「5K」「10K」「16K」「20K」などと表す。
- 基本的に、数字が大きいほど高い圧力に対応する等級となる。
- 同じ呼び径でも、呼び圧力が異なると、フランジの外径・厚さ・ボルト穴の位置などが異なる場合がある。
- 同じ10Kフランジでも、材質や使用温度などによって実際に使用できる圧力は変わる。
具体例:
「差し込み溶接式(種類)で、JIS 10K(呼び圧力)、50A(呼び径)のフランジ」

〇フランジを接続するときの確認ポイント
- 基本的に、呼び径・呼び圧力が同じフランジ同士を組み合わせる。
- ただし、呼び径・呼び圧力が一致していても、それだけで安全に使用できるとは限らない。
- 実際に使用する際には、以下の3つを確認することが重要。
- 呼び径・呼び圧力
- 座面とガスケットの組み合わせ
- 材質・圧力・温度などの使用条件
上記の内容を理解しておくことで、図面やカタログに「差し込み溶接式・50A・JIS 10K」と記載されていても、フランジの種類・サイズ・圧力の等級が何を意味するのか、理解できるようになります。
また、フランジはどんなものでも自由に接続できるわけではなく、呼び径・呼び圧力だけでなく、座面やガスケット、使用条件などの確認も必要であることが分かるようになります。
そして、こうした知識は、配管図面やカタログに記載されたフランジの仕様を理解するときはもちろん、バルブ交換などのメンテナンスでフランジが使われる理由を理解する際にも役立ちます。
まずは今回学んだ基本知識を押さえ、実際の図面や現場でフランジを見かけたときに、今回の内容と照らし合わせて知識を定着させていきましょう!
フランジと一緒に使用されるガスケットやパッキンについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください!








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