
機械図面には「組立図」と「部品図」があるって聞いたけど、いったいどんな図面のこと?どういう違いがあるの?
皆さんは、過去の私のように、
- 組立図と部品図にはどのような違いがあるのか分からない
- 組立図とは何か?部品図とは何か?よく分からない
という状態ではないでしょうか?
ものづくりの世界で働く人にとって、図面の種類を正しく理解することは非常に重要です。
なぜなら、図面の種類によって「何のために作られたのか」「どの情報を見るべきか」が全く異なるからです。
もし組立図と部品図の役割を混同してしまうと、部品の発注ミスや組み立て時のトラブルなど、業務に大きな支障をきたす原因になってしまいます。
そこで、今回は皆さんが「組立図と部品図にはどのような違いがあるのか?」また「それぞれはどのような図面なのか」を明確に理解できるよう、組立図と部品図の立ち位置から、目的、図面の内容、図面を使用する人の違いまでを徹底解説します!
この記事で分かること
- 組立図と部品図の違いが分かる。
そして、
- 組立図と部品図がそれぞれどういう図面なのかが分かる。
その結果、
- 組立図と部品図の違いが分かることでスムーズに業務が行えるようになる

文系出身で、現在、プラントエンジニアリング業界の調達部門で勤務しています。自身の苦労した経験をもとに、初心者目線でわかりやすく解説します。ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
組立図と部品図の立ち位置
組立図と部品図の違いを説明する前に、まずは簡単に組立図と部品図がどういう図面なのか、(図面全体の中での立ち位置)を解説しておきます。
そもそも、現代の工場やプラントにある設備を図面で表すには、伝える内容に合わせて大きく3つのグループの図面を使う必要があります。

- 系統図・配置図
- 設備が「動く仕組み」を表す図面
- 例:操作系統図、配管系統図、配置図、ユーティリティ取合図など
- 機械図面
- 設備の「形」の詳細を表す図面
- 例:組立図、部品図
- 電気・制御図面
- 設備の「脳」と「神経」の詳細を表す図面
- 例:単線結線図、計装系統図、運転方案など

「系統図・配置図」「機械図面」「電気・制御図面」や例で挙げている図面名称は、会社ごとに異なるため、名称を覚える必要はありません。皆さんは、図面には3つのグループがあり、それぞれ上記の赤字の部分を概念として覚えておけばOKです!
なぜかというと、現代の設備は非常に複雑になっており、多くの設備が次の3要素を満たすことで成り立っているからです。

- 設備としての「形」がある
- 設備には、そもそも機械的な構造(ハード)がある
- 設備が「動く仕組み」がある
- 設備を動かすために、外部から燃料や冷却水、電力などのユーティリティが供給されていたり、他設備と連動している。
- 設備には「脳」や「神経」がある
- 設備に指示を与えて動かすコンピューター(「脳」)がある。
- 設備に取り付けられたセンサーが読み取った情報を配線を通じてコンピューターへ送る「神経」が存在する。
これらの3要素を漏れなく正しく伝えるために、それぞれの要素の情報を伝えることができる上述の3グループの図面が使用されます。
そのため、皆さんが一つの設備を完璧に理解するには、3グループの図面すべてを見る必要があるということです。
そして「組立図」と「部品図」は上記3グループのどれに当たるのかというと、**「機械図面」**に当たります。
機械図面の読み方・コツについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください!
では、機械図面の中で組立図と部品図はどのような立ち位置なのでしょうか?
結論から言うと以下の通りです。
- 組立図は設備全体の「形」を表した機械図面
- 部品図は設備を構成する部品単体の「形」を表した機械図面

設備は通常、たくさんの部品が組み立てられて作られています。
それらの部品の一部はボルトや軸受けなど既製品として世の中に出回っているものもありますが、既製品として出回っていない部品は自ら、又は外注して部品を製作する必要があります。
既製品として出回っていない部品を製作するときに必要となるのが、各部品単体の「形」を表した部品図です。
部品図には、後ほど詳しく解説しますが、部品を製作するために必要となる詳細な寸法や加工指示、公差などが記載されています。
このような部品図を見て部品を製作し、完成すると、次は設備として組み立てる必要がありますが、その時に必要となるのが、設備全体の「形」を表した組立図です。
組立図には、こちらも後ほど詳しく解説しますが、設備全体の図が描かれており、どこにどの部品をどのように組み立てればいいか分かるようになっています。
また、組立図と部品図はピラミッド構造の関係になっています。
例えば、「ローラーコンベア」という1つの設備を表した組立図があったとします。その下には、ローラーコンベアを構成するために必要な「モーター」「ロール」「フレーム」「脚」といった数多くの部品図が連なっています。
このように、「全体(1つ)」と「部分(複数)」の階層に分かれているため、ピラミッドのような形になるのです。

そして、組立図と部品図はピラミッド構造として繋がっているため、実務上のポイントとして、以下の内容も押さえておきましょう!
組立図の部品欄に記載されている部品の数と、部品図に記載されている手配個数は基本一致している
どういうことかというと、下図のように、ローラーコンベアの組立図の部品欄を見れば「このローラーコンベアを完成させるには、ロールが30本必要」ということが一目でわかります。

そして、次に、このロールの部品図(下図)を見ると「手配個数が30」とっており、数字が一致しています。

このように、組立図の部品欄の個数と部品図の手配個数は一致していることが通常です。
逆に、「組立図の部品欄の個数と部品図の手配個数が一致していなかった時は、何らかのミスがある」と考えるようにしましょう。この点は、手配個数を誤るというミスを防ぐためにも、重要なポイントです!
総組立図って何?
自動車やプラントの大型機器のような複雑な機械図面の場合、ピラミッドはさらに多層化し、**「総組立図 > 組立図(ユニット組立図) > 部品図」**という階層のピラミッド構造になります
- ピラミッドの頂点:総組立図(全体の完成形)
- 真ん中:組立図(ユニットごとの塊)
- 土台:部品図(ネジ一本、板一枚までの最小単位)

組立図と部品図の違い
組立図と部品図の立ち位置がわかったところで、ここからは具体的な「違い」を見ていきましょう。
組立図と部品図の違いを、立ち位置も含めて5つの項目で比較表にまとめました。
| 項目 | 組立図(Assembly Drawing) | 部品図(Part Drawing) |
|---|---|---|
| 呼び方 | 組立図、組図、アッセンブリー、親図 | 部品図、子図 |
| 立ち位置 | 設備全体の「形」を表した「機械図面」 | 部品単体の「形」を表した「機械図面」 |
| 目的 | ・部品同士を組み立てて、設備全体を完成させるために描かれ、使用される ・設備全体の「形」を把握するために描かれ、使用される | ・部品単体を、正確に加工・製作するために描かれ、使用される。 ・部品単体の「形」を把握するために描かれ、使用される。 |
| 図面の内容 | ・設備全体の図 ・設備が組み立てられた時の寸法・重量 ・部品欄と部品番号が書かれたバルーン | ・部品単体の図 ・部品単体の寸法、公差、仕上げ記号、材質、重量など ・手配個数 |
| 図面を使用する人 | ①設備の組立を行う作業員 ②設備の据付工事を行う作業員 ③設備を作るための部品調達や設備の輸送手配を行う担当者 など | ①部品を加工・製作する作業員 ②設備を作るための部品調達の担当者 |
それぞれの詳細について、組立図→部品図の順番で解説していきます!
組立図とは?目的・内容・使う人から実務の注意点まで徹底解剖

まずは組立図についてです。
【組立図の呼び方】
組立図、組図(くみず)、親図(おやず)、アッセンブリー
【組立図の立ち位置】(←詳細は上述)
設備全体の「形」を表した「機械図面」
【組立図の目的】
- 部品同士を組み立てて、設備全体を完成させるために描かれ、使用される
- 設備全体の「形」を把握するために描かれ、使用される

【組立図の図面の内容とそこから分かること】
上図の通り、組立図には以下の内容が記載されています。
- 設備全体の図
- 設備全体の形状が分かる
- 各部品同士がどのように接続されるかが分かる(ボルトなのか、溶接なのか、はめ込みなのか、など)
- 設備が組み立てられた時の寸法・重量
- 設備全体の寸法や重量が分かる
- 部品欄と部品番号が書かれたバルーン
- 組立図には、上図のように、部品から引き出し線が出て、丸囲みの番号=バルーンが振られており、その番号は部品欄の番号と一致している
- 各部品の数と位置が分かる。
【組立図の図面を使う人】
設備の製作、据付工事、操業に関わるすべての関係者が組立図を確認して業務を行っていますが、メインで組立図を使用するのは次の3者です。
①設備の組立を行う作業員
②設備の据付工事を行う作業員
③設備を作るための部品調達や設備の輸送手配を行う担当者
以下では、この3者が組立図を見てどのようなことを確認しているか解説しています

①組立を行う作業員
設備の組み立てを行うために、組立図を見て、次の内容を確認する

②設備の据付(すえつけ)工事を行う作業員
組み立てた設備を工場やプラントに設置する据付工事を行うために、工事の作業員は組立図から主に以下の内容を確認します。

③設備を作るための部品調達や設備の輸送手配を行う担当者
設備を作るための部品調達を行う担当者や、組み立てられた設備の据付工事現場までの輸送を手配する担当者は、業務を遂行するために組立図から主に以下の内容を確認します。
組立図を社外に渡すときは注意が必要!
設備メーカーによっては、設備を社内で組み立てる場合もあれば、(近年増えているファブレス企業などは)社外へ依頼している場合もあります。設備メーカーが社外へ組立を依頼する場合は当然組立図を渡すことになりますが、渡し方には注意が必要です。
【実務上のアドバイス】
もし、皆さんが設備メーカーの社員で、組立図を社外の関係者に渡す場合、「伝えたい情報以外は削除した状態で渡す」のが鉄則です。
組立図に限らず、すべての図面は会社の貴重な資産(ノウハウの塊)です。情報漏洩によって問題とならないよう、社外へ出す際は「部品欄やバルーンを削除する」「基本的な外形が分かる寸法以外は削除する」といった黒塗り・削除処理を行いましょう。また、必ず上長の承認を得てから渡すようにしましょう!

部品図とは?目的・内容・使う人から実務の注意点まで徹底解剖

続いて、部品図の詳しい内容と実務での注意点です。
【部品図の呼び方】
部品図、子図(こず)
【部品図の立ち位置】(←詳細は上述)
部品単体の「形」を表した「機械図面」
【目的】
- 部品単体を、正確に加工・製作するために描かれ、使用される。
- 部品単体の「形」を把握するために描かれ、使用される。

【部品図の図面の内容とそこから分かること】
上図の通り、組立図には以下の内容が記載されています。
- 部品単体の図
- 部品単体の形状が分かる
- 部品単体の寸法、公差、仕上げ記号、材質、重量など
- 部品の製作に必要なすべての詳細な情報が分かる
- 手配個数
- 描かれた部品をいくつ製作する必要があるかが分かる
【部品図の図面を使う人】
部品図は組立図と違い、設備の製作・据付工事・操業に関わるすべての関係者が業務で使用するというわけではありません。
部品図は、組立図に比べて製造に関する詳細な情報が記載されているため、限られた人が使用しています。部品図のメインで使用する人は次の2者です。
①部品を加工・製作する作業員
②設備を作るための部品調達の担当者
以下では、この2者が部品図を見てどのようなことを確認しているか解説しています

①部品を加工・製作する作業員
部品の加工・製作を行うために、部品図を見て、次の内容を確認します。

②設備を作るための部品調達の担当者
設備組み立てに必要となる部品調達の担当者も部品図を見て、以下の内容を確認します。
部品図は組立図よりも機密性がある意味高い!
上述しておりますが、部品図には、部品製作に必要な詳細情報(加工の指示や材質など)が全て記載されています。そのため、もし部品図が流出してしまうと、全く同じ性能の部品が他社でも製作できてしまいます。それはつまり、ある設備の部品図が「すべて」流出したら、他社に全く同じ設備を作られてしまうということになります。
一方で、組立図のみが流出したとしても、部品製作に必要な詳細情報がないため同じ設備を作ることはできません。ただし、組立図には「設備がどういう仕組みで動いているのか」という設計思想がある程度表れるため、部品図とは別の次元で組立図にも機密性があります。組立図も部品図もともに取り扱いには十分に注意しましょう。
【重要】部品図の手配個数は、組立図の部品欄を見て裏取りをしよう!
先述の通り、組立図と部品図はピラミッド構造になっているため、通常「部品図の手配個数」と「組立図の部品欄の個数」は一致します。
しかし、部品調達担当として働いている私の経験上、部品図に書かれている手配個数は結構間違っていることが多いです。部品図の手配個数を鵜呑みにして調達したら、いざ組み立てる時に「おい!数が足りねえぞ!」というトラブルが何度もありました。
そのため、部品図の手配個数を見たら、必ず組立図の部品欄の個数を見て「間違いないか裏取り(ダブルチェック)」することを強くお勧めします!
まとめ
今回は、今回は皆さんが「組立図と部品図にはどのような違いがあるのか?」また「それぞれはどのような図面なのか」を明確に理解できるようになるために、組立図と部品図の立ち位置から、目的、図面の内容、図面を使用する人の違いまでを徹底解説しました!
〇組立図と部品図の立ち位置
設備を表す図面の3つのグループ
- 系統図・配置図
- 設備が「動く仕組み」を表す図面
- 例:操作系統図、配管系統図、配置図、ユーティリティ取合図など
- 機械図面
- 設備の「形」の詳細を表す図面
- 例:組立図、部品図
- 電気・制御図面
- 設備の「脳」と「神経」の詳細を表す図面
- 例:単線結線図、計装系統図、運転方案など
- 組立図は設備全体の「形」を表した機械図面
- 部品図は設備を構成する部品単体の「形」を表した機械図面
組立図と部品図はピラミッド構造
画像
〇組立図と部品図の違い
| 項目 | 組立図(Assembly Drawing) | 部品図(Part Drawing) |
|---|---|---|
| 呼び方 | 組立図、組図、アッセンブリー、親図 | 部品図、子図 |
| 立ち位置 | 設備全体の「形」を表した「機械図面」 | 部品単体の「形」を表した「機械図面」 |
| 目的 | ・部品同士を組み立てて、設備全体を完成させるために描かれ、使用される ・設備全体の「形」を把握するために描かれ、使用される | ・部品単体を、正確に加工・製作するために描かれ、使用される。 ・部品単体の「形」を把握するために描かれ、使用される。 |
| 図面の内容 | ・設備全体の図 ・設備が組み立てられた時の寸法・重量 ・部品欄と部品番号が書かれたバルーン | ・部品単体の図 ・部品単体の寸法、公差、仕上げ記号、材質、重量など ・手配個数 |
| 図面を使用する人 | ①設備の組立を行う作業員 ②設備の据付工事を行う作業員 ③設備を作るための部品調達や設備の輸送手配を行う担当者 など | ①部品を加工・製作する作業員 ②設備を作るための部品調達の担当者 |
上記の内容を理解しておくことで、組立図と部品図がそれぞれどういう図面なのかが理解できるようになります。そしてその結果、皆さんは、組立図と部品図の違いが分かることでスムーズに業務が行えるようになります。
今後も、機械図面に書かれている溶接記号の詳細だったりを解説していく予定ですので、ぜひこれからも一緒に学んでいきましょう!
そもそも組立図や部品図の読み方が分からないという方は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください!



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