
「ポンプ」っていう設備があるらしいけど、そもそもどんな役割を果たす設備なの?

「ポンプ」には種類とかあるの?
「ポンプ」ってどんな仕組みで動いているの?
皆さんは、上にある過去の私のように、
「ポンプとはいったいどのような設備なのか?」が分かっていない
という状態ではないでしょうか?
ポンプは、工場やプラント内の設備へ液体を供給するために不可欠な設備であり、現場でも頻繁に見かける設備の一つです。また、皆さんの業務の中でもポンプが登場する機会は多いと思います。
だからこそ、「ポンプとはいったいどのような設備なのか?」という、ポンプの基礎的な部分に関しては、業務を進めるうえで最低限知っておくべき内容となります。
そこで本記事では、皆さんが「ポンプとはいったいどのような設備なのか?」が分かるよう、「そもそもポンプが果たす役割とは何か?」についてを解説するとともに、ポンプの主要な2分類である「容積型ポンプ」と「ターボ型ポンプ」の動作する仕組み・特徴を解説します!
この記事で分かること
- ポンプが果たす役割が分かる
- ポンプの主要な2分類である「容積型ポンプ」と「ターボ型ポンプ」の動作する仕組み・特徴が理解できる
そして、
- 「ポンプとはいったいどのような設備なのか?」が分かり、ポンプについての基礎知識が身につく
その結果、
- ポンプに関する知識の土台が出来上がり、今後、さらに深くポンプについて学んでいけるようになる

文系出身で現在、プラントエンジニアリング業界の調達部門で働く武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
ポンプが果たす役割

先に結論をお伝えしますが、ポンプが果たす役割は下記になります。
液体にエネルギーを加えて、目的の場所まで送り出す役割
抽象的で分かりづらいと思いますので、もう少し具体的に解説していきます。
まず前提として、液体は下記の性質を持っています。
- 高い場所から低い場所へ流れる
- 圧力の高い場所から圧力の低い場所へ流れる
例えば、山から海へ向かって流れる川や、注射器で薬を体内に打つときは、上記の性質によって起きている現象といえます。
(注射器で薬を打つときは、注射器のピストンを押し込むことで注射器内部の薬の圧力が高まり、圧力のより低い体内へ薬が流れ込んでいます。)

この液体の性質は、プラント内の設備や配管の中を流れる液体でも同じです。
例えば、下図のように低い場所にある水槽から高い場所にある水槽へ配管を通じて水を移動させたくても、自然には移動しません。

また、下図のように圧力の低い液体は内部の圧力が高い容器内に自然に流れ込むことはありません。
(逆に、内部圧力が高い容器に接続される配管に逆止弁を付けないと逆流してしまいます。)
「逆止弁」はバルブの一種です。「バルブ」や「逆止弁」がよく分からない方はこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください!

さらに、配管を通る液体は摩擦により徐々に勢いが失われていくという性質もあるため、高い場所や高圧な場所でなくても、配管の距離が長すぎると、やはり自然には流れていきません。

しかし、実際には、プラント内の設備や配管は以下のような状態になっています。
- 設備の多くが高い場所・低い場所に関係なく設置されている
- 設備によっては内部圧力が高い状態で運転されている
- プラントは広大な敷地であるため、設備へ液体を供給するための配管が非常に長い距離となっている
もちろん、このような状態では液体が自然に流れて設備まで供給されるということはありません。
では、プラントではどのようにして液体を供給しているのでしょうか?
その答えとなるのが「ポンプ」です。
ポンプの「吸込口」に配管等を接続して液体を流し込むと、ポンプは液体にエネルギーを加えて、「吐出口」から勢いよく液体を吐き出します。
(まさに、某カートゲームでダッシュ板を踏むとカートが加速するのと同じで、液体はポンプを通過することで勢いよく送り出されます)

吐出口から出てきた液体はエネルギーを加えられているため、通常流すことができなかった高い場所や圧力の高い場所、遠距離の場所へも強制的に送り出すことができます。

プラントでは、こうした機能を持つ「ポンプ」を各所に配置することで、液体にエネルギーを加えて、目的の場所(高い場所、高圧な場所、遠距離の場所)まで液体を供給しています。
要するにポンプは、「液体にエネルギーを加えて、目的の場所(高い場所、高圧な場所、遠距離の場所)へ送り出す役割」を果たしているのです。
「そもそも配管ってなんだ?あんまりよく分かっていない」という方は、こちらの記事で配管の役割や構成部品について解説していますので、ぜひご覧ください!
『必須知識』全く知らない人向け!配管の全体像を知るための基礎知識
また、「なんで液体を設備に供給する必要があるのか?」と疑問をお持ちの方は、こちらの記事で設備に対して液体が果たす役割を解説しますので、ぜひご覧ください。
ポンプの性能について
ポンプの役割は「液体にエネルギーを加えて、目的の場所(高い場所、高圧な場所、遠距離の場所)へ送り出す」でした。
そんなポンプの性能は、次の2点で測られます。
- 流量(りゅうりょう)=「どれだけの量の液体を送り出せるか」
- 揚程(ようてい)=「液体にどれだけのエネルギーを加えられるか」

順番に解説していきます!
流量
- 文字通り「流れる量」
- 要するに、どれだけの量の液体を吐出口から送り出せるかということを表す。
- 以下の単位で表される。
- m3/min :「1分当たり何m3の液体が流れるか」
- L/min:「1分当たり何Lの液体が流れるか」

揚程
- そのポンプによって液体がどれだけの高さまで持ち上がるかを表した数値
- 単位はm(メートル)
- 少しわかりづらいと思うが、今のところは、下の認識でOK!


揚程については分かりづらいですが、重要な概念であるため別記事で詳細を解説します。
ポンプの主要な2分類

ここまででポンプが果たす役割は何となく分かったと思います。
ポンプの役割は「液体にエネルギーを加えて、目的の場所まで送り出す役割」でした。
では、ポンプはどのような方法で液体にエネルギーを加えているのでしょうか?
実は、ポンプの種類によって「液体にエネルギーを加える方法」は異なります。
そして、ポンプの種類は非常に多いですが、この「液体にエネルギーを加える方法」で下の3つに分類することができます。

- 容積型
- ターボ型
- その他
「容積型」や「ターボ型」の中には、上記の樹形図の通り、たくさんの種類が存在するわけですが、同じ容積型、同じターボ型であればエネルギーを加える基本的な仕組みは同じです。
一方、「その他」については、「容積型」や「ターボ型」に分類できない特殊なポンプとなっており、ポンプの種類によってエネルギーを加える方法は異なります。ただし、頻繁に使用するポンプではないため、ひとまずはスルーで大丈夫です。
そのためここからは、ポンプはどのような方法でエネルギーを加えているかが理解できるよう、ポンプの主要な分類である「容積型」と「ターボ型」の液体にエネルギーを加える仕組みと特徴を解説していきます。
容積型ポンプの仕組みと特徴

容積型ポンプの仕組み
「容積の変化によって液体にエネルギーを与える」
- 上図の歯車ポンプのように、ポンプ内部の密閉された空間に液体が流れ込む
- 密閉された空間が狭くなることで空間内の液体に圧力エネルギーが加えられる
- 圧力エネルギーを加えられ、高圧となった液体がポンプの吐出口から送り出される

容積型ポンプの動力はポンプによって異なりますが、モーターであることが多いです。
上図の歯車ポンプはモーターと歯車がつながっており、モーターが回転することで歯車が回転します。
容積型ポンプの特徴
- ターボ型ポンプに比べて吐出する液体の流量は小さい。一方、常に一定量の液体を送り出し続けることができる。
- ターボ型に比べて吐出する液体の圧力は大きい(=揚程が高い)
- ドロドロした(粘度が高い)液体でも高い性能を発揮する
- 容積型ポンプから吐出された液体はドクンドクンと脈動がある
脈動があると、配管が振動したり、流量計等の計器類が正しく測定できなかったり、設備が破損してしまうリスクがあるため、好ましくない状態です。

容積型ポンプの特徴キーワード
小流量、高揚程、ドロドロもOK、定量性高い
容積型ポンプに分類される主なポンプ

- 往復ポンプ
- ピストンポンプ
- プランジャーポンプ
- ダイヤフラムポンプ
- 回転ポンプ
- 歯車ポンプ(ギヤポンプともいう)
- ベーンポンプ
- ネジポンプ

下図のような井戸に設置してある手動のポンプは「ピストンポンプ」に当たり、「容積型ポンプの一種」です。

ターボ型ポンプの仕組みと特徴

ターボ型ポンプの仕組み
「羽根車の回転によって液体にエネルギーを与える」
- 上図の遠心ポンプのように、ポンプ内部に羽根車が存在する
- 羽根車はポンプに付属してるモーターとつながっており、モータが回転することで羽根車も高速で回転する
- 液体は吸込口からからポンプ内部へ流れ込み、高速で回転している羽根車に押し出されることによってエネルギーを受け取る
- エネルギーを受けとった液体は吐出口から勢いよく送り出される
ターボ型ポンプの特徴
- 大量の液体を送り出すことが可能(=流量が大きい)
- 容積式ポンプに比べて吐出する液体の圧力は小さい(=揚程が低い)
- サラサラした(粘度が低い)液体には高い性能を発揮するが、ドロドロした(粘度が高い)液体では性能が劇的に落ちてしまう
- 液体が途切れることなくスムーズに流れる(脈動がない)

ターボ型ポンプの特徴キーワード
大流量、揚程普通、サラサラ専用、脈動無し
ターボ型ポンプに分類される主なポンプ

- 遠心ポンプ
- 渦巻ポンプ
- ディフューザーポンプ
- 斜流ポンプ
- 渦巻斜流ポンプ
- 斜流ポンプ
- 軸流ポンプ
まとめ
今回は、皆さんが「ポンプとはいったいどのような設備なのか?」が分かるよう、「ポンプが果たす役割とは何か?」についてを解説するとともに、ポンプの主要な2分類である「容積型ポンプ」と「ターボ型ポンプ」の動作する仕組み・特徴を解説しました!
〇ポンプが果たす役割
液体にエネルギーを加えて、目的の場所まで送り出す役割
- 流量(りゅうりょう)=「どれだけの量の液体を送り出せるか」
- 揚程(ようてい)=「液体にどれだけのエネルギーを加えられるか」
〇ポンプの主要な2分類
容積型ポンプ
ターボ型ポンプ

上記の内容を理解しておくことで、「ポンプとはいったいどのような設備なのか?」が分かるようになり、ポンプについての基礎知識が身につきます。
その結果、皆さんは、ポンプに関する知識の土台が出来上がり、今後、さらに深くポンプについて学んでいけるようになります。
一方、今回解説した内容は、あくまでポンプの基礎的な部分しかお伝えできていません。ポンプは奥が深く、「揚程の考え方」や「ポンプで起こりやすいトラブル」など、まだまだ知っておくべき内容がたくさんあります。今後は、皆さんがポンプについて最低限知っておくべき内容を順番に解説していきますので、引き続き一緒に学んでいきましょう!!

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