こんにちわ!突然ですが、皆さんはこんな経験をしたことはありませんか?

ボルトください!!

いやいや、ボルトって言われても、、どんな種類?サイズは?材質は?

ぐぬぬ、、、すいません、確認します
ボルト・ナット・ワッシャーは、現場で非常に身近な存在ですが、種類や材質・メッキ、サイズ(規格)などの基礎知識を理解していないまま業者に注文しようとすると、上記のような恥ずかしい思いをしてしまいます。私は経験があります、、、泣
今回は、こんな恥ずかしい思いをしないために、ボルト・ナット・ワッシャーを購入する際に業者へ伝えるべき5つの「情報」(=ボルト・ナット・ワッシャーを構成する5つの要素)を紹介するとともに、5つの「情報」それぞれの最低限覚えておきたい内容を写真やイラストを用いて、分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- ボルト・ナット・ワッシャーを購入する際に業者へ伝えるべき5つの「情報」
- ボルト・ナット・ワッシャーの種類や材質・メッキ、サイズ(規格)といった基礎知識
そして、
ボルト・ナット・ワッシャーを購入する際に業者と正確に意思疎通ができ、無駄なコミュニケーションのラリーや買い間違いを防ぐことができる
その結果、
「この人は分かってるな」と社内外の技術者から信頼され、対等な議論ができるようになる

文系出身でプラントエンジニアリング業界に勤務し、日々、工程管理や資材調達の業務をしているTKが分かりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
ボルト・ナット・ワッシャーの買い方
結論、ボルト・ナット・ワッシャーを買う際は、以下の5つの「情報」を伝えるようにしましょう!

上記を見て、「種類や材質を伝えるって言っても、何も知らないんですけど」や、「M20×70L×46Sって何?」と思われた方、大丈夫です!ご安心ください!
これから、伝えるべき5つの「情報」についてそれぞれ最低限覚えておきたい内容を分かりやすく説明していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
種類
ボルト、ナット、ワッシャーが欲しいと思っても、まず業者にどんな種類のものが欲しいのかを伝えなければ話は始まりません。
一方、ボルト、ナット、ワッシャーと言っても世の中には数多くの種類があります。が、もちろんすべてを覚えておく必要はありません。よく使うボルト、ナット、ワッシャーさえ覚えておけばOKですので、ひとまずここで紹介する9種類を覚えておきましょう!
- 六角ボルト
- 六角穴付ボルト
- 六角穴付皿ボルト
- Uボルト
- アイボルト
- ビス
- 六角ナット
- 平ワッシャー
- スプリングワッシャー
六角ボルト

- 最もベーシックなボルト
六角穴付ボルト


- 「頭」に六角形の穴が開いたボルト
- 六角レンチ(下の写真の工具)を六角形の穴に差し込んで締結する
- 六角レンチを使用できる特性上、他の工具だと扱いづらい狭い場所に使用されることが多い

六角レンチ
(Walter BichlerによるPixabayからの画像)
六角穴付皿ボルト


- 頭が皿のような形状をしてるタイプの六角穴付ボルト
- 以下のイラストのように部品に座ぐりを入れておくことで、締結後の部品の面を平らに仕上げることができる。

Uボルト


- 写真のようにU型の形状をしており、配管を固定するために使用される
- 固定する配管の太さに合わせてUボルトのサイズを決定する必要がある
アイボルト

- 写真のように「頭」がリング状になっている。
- 主に重量物をクレーンで吊り上げる際の引っ掛ける場所として使用される。(下のイラスト参照)

ビス

(Adriano GadiniによるPixabayからの画像)
- 写真のように軸の先端が尖っており、「頭」に+や-の溝が切ってある。
- 主に木材の接合に使用され、尖った先端を木材に押し当て、回転させることで、ビス単体で打ち込むことができる。
六角ナット

- 最もベーシックなナット
- 「ナット」と言えば、六角ナットを指すことが多い
平ワッシャー

- ボルト、ナットと一緒に使用されることが多い。
- 締結時の圧力から部品の陥没や損傷を防ぐ役割で使用される。
スプリングワッシャー

- ボルト、ナットと一緒に使用されることが多い。
- 部材に食い込み、ボルトやナットの緩みを防止する役割で使用される。
材質・メッキ
つづいて、材質について説明します。
ボルト、ナット、ワッシャーの種類は上述のようにたくさんありましたが、材質もたくさんの選択肢があります。また、材質によってはメッキ処理(物体の表面に金属の薄い膜をコーティングする表面処理)が施されている場合もあるため、それも踏まえて、しっかり指定する必要があります!
とはいっても、材質・メッキもやはりすべて覚える必要はありません。
材質としては、
よく使用される SS400 と SUS304 という2つを覚えておきましょう。
そして、
メッキについては、
SS400のみ生地(きじ;メッキ無し)or ユニクロメッキを指定するということを覚えておきましょう。

覚えるべき材質とメッキが分かったところで、
それでは、まず材質のSS400とSUS304の特徴を説明していきます!!

SS400の特徴(上の写真はSS400生地のボルト)
・安価で、そこそこ強度があり、加工しやすいため、最も一般的に使用される材質
・錆びやすい
・錆び防止のためメッキ処理されたボルト、ナット、ワッシャーが広く流通している。

SUS304の特徴(上の写真はSUS304の六角穴付皿ボルト)
・表面に保護膜を作るため錆びにくく、強度もある
・高価
・錆びにくい材質のため、メッキ処理されたボルト、ナット、ワッシャーはほとんど流通していない
解説したSS400とSUS304の特徴からも分かるように、SS400はメッキ処理が一般的です。そして、その中でも特に広く流通しているのがユニクロメッキと言われるメッキ処理になります。

では、ユニクロメッキの特徴を説明します!!

ユニクロメッキの特徴(上の写真はSS400ユニクロメッキの六角ボルト)
・錆びにくい
・光沢があり、見た目が良い(SUS304と比べて若干青みがかっている)
・高温(130℃以上)になるとメッキがはがれる
SS400の生地にするか、ユニクロメッキにするかの判断は、高温部で使用するかを考慮しましょう!
サイズ(規格)
つづいてサイズ(規格)の説明をします。
サイズを伝えるときは以下の内容を伝えましょう!

①規格
「M」は「メートルねじ規格ですよ」という意味になります。
「メートルねじ規格ってなんやねん!」と思う方もいらっしゃると思いますので、少し規格の説明をします。
日本には下記のネジ規格が存在します。そして、同じ規格のネジであればどんな種類や材質・メッキであっても必ずねじ込むことができます。逆に規格が異なるネジはねじ込むことができません。

そして、皆さんがひとまず覚えておけばいいのはメートルねじ規格になります。
国内のほとんどのボルト、ナット、ワッシャーがメートルねじ規格で作られています。
また、メートルねじ規格は「M20×70L×46s」という型でサイズを伝えるということも覚えておきましょう。
(インチねじ規格や管用ねじ規格は、サイズの伝え方が異なります。また、おいおい覚えましょう)
②ネジの太さ、③首下の長さ、④ネジの長さ
②ネジの太さ、③首下の長さ、④ネジの長さは以下のイラストで示す寸法を指します。
また、③,④の寸法の後ろにはそれぞれ「L」,「S」をつけます。

③首下の長さと④ネジの長さが同じ場合は以下のように伝えます。

また、ナット、ワッシャーは③首下の長さと④ネジの長さは不要のため、①規格「M」と②ネジの太さのみでOKになります。(例:「M14のナットください」、「M20の平ワッシャーください」)
並目、細目
先ほどの規格の話で少し出てきましたが、「メートルねじ規格」の中には、「メートル並目ねじ」と「メートル細目ねじ」の2種類があります。それぞれ違いは以下の通りです。

そして、並目と細目を指定する場合の伝え方は以下になります。

基本的に広く使用されている並目はピッチを伝える必要はありません。特に指定しなければ並目のものが納品されます。細目の時だけピッチを伝える必要があるということを覚えておきましょう。
1種、2種、3種(ナットのみ)
最後に、ナットのみ1種、2種、3種という違いがあるということを覚えておきましょう。

基本的に普段使用するのは1種のため、特に指定しなければ1種のナットが納品されます。
2種、3種が欲しい場合は、例えば「M20の3種の六角ナットをください」というように、補足情報として付け加えましょう。
まとめ
今回はボルト、ナット、ワッシャーを買うときに伝えるべき「情報」を解説しました。
ボルト、ナット、ワッシャーを買うときに伝えるべき情報

上記の情報はボルト、ナット、ワッシャーを特定する上で必須の情報ですので、漏れなく伝えることで販売業者と正確に意思疎通ができ、無駄なコミュニケーションのラリーや買い間違いを防ぐことができます。また、上記の情報を理解すること=ボルト、ナット、ワッシャーという部品を理解することですので、社内外の技術者から「この人はわかっているな」と思われ、その人たちと対等に議論することができるようになります。
今回紹介した各情報の中身は最低限覚えておきたい内容に絞って紹介しています。特に、種類や材質・メッキは非常に多くの選択肢があるため、皆さんはそれぞれの業務を通じて必要なものを追加で覚えていくようにしましょう!!
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