ポンプの使用方法と定番トラブルを解説!キャビテーションって何?

機械部品
<strong>先輩</strong>
先輩

ポンプは「キャビテーション」に注意して使わないといけないぞ!

<strong>過去の私</strong>
過去の私

ポンプが液体を送り出す設備ということは知っているけど、具体的な使用方法はよく分かっていないんだよなあ・・・

<strong>過去の私</strong>
過去の私

てか、「キャビテーション」って、具体的にどんなトラブルなんだろう

<strong>過去の私</strong>
過去の私

ポンプってキャビテーション以外にも定番のトラブルとかあるのかな?


皆さんは、上にある過去の私のように、

「ポンプの具体的な使用方法や定番のトラブルが分かっていない」

という状態ではないでしょうか?

ポンプは、プラントのいたるところで頻繁に見かける身近な設備であり、液体を各設備へ送り出すために不可欠な重要設備です。そのため、皆さんの業務でもポンプに接する機会は非常に多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、皆さんがポンプについてのより詳細な知識(業務に求められる水準の知識)を習得できるよう、ポンプの使用方法を具体的に解説するとともに、ポンプを使用する上で最低限知っておくべきポンプの定番トラブルを解説します!

この記事で分かること

  • ポンプの使用方法を具体的に理解できる
  • ポンプの定番トラブルを知ることができる

そして、

  • ポンプについてのより詳細な知識(業務にに求められる水準の知識)を習得できる

その結果、

  • 業務の中で行われるポンプの専門的な会話にもついていけるようになる
<strong>武将</strong>
武将

文系出身で現在、プラントエンジニアリング業界の調達部門で働く武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!

ポンプの使用方法

ポンプは下記手順で使用することができます。

ポンプの使用手順

  1. ポンプの選定と設置場所の検討
  2. ポンプの据え付け(すえつけ)
  3. ポンプに配管を接続
  4. ポンプへの配線と試運転
  5. ポンプの始動、運転

順番に解説していきます

①ポンプの選定と設置場所の検討

ポンプを使用するには、まずポンプの選定と設置場所を検討する必要があります。

ポンプの役割は、液体を目的の場所(高い場所、高圧な場所、遠距離の場所)まで送り出すことでした。

そのために、設計者が「ここにある液体を目的の場所まで送り出すには、どのくらいの性能のポンプを、どの場所に設置するべきか」を検討します。

この検討方法については、内容が深く、専門的な内容になるため、設計者ではない皆さんがすべてを理解しておく必要はありません。

ですが、その代わりに皆さんは、ポンプの設置場所について下記の内容は最低限覚えておくようにしましょう!

◆最低限覚えておくべき内容

「吸込側の配管はできるだけ短くして、ポンプを吸込水面に近づけて設置する」

ポンプは、液体のスタート地点から目的の場所までを結ぶ配管の経路上に設置することになります。

ポンプはその経路上の中でも、なるべくスタート地点の液体の水面(吸込水面)に近づけ、吸込口に接続する配管(吸込側の配管)を短くする必要があります。

なぜかというと、理由は2つです。

理由
  1. キャビテーション防止
  2. ポンプは吸い込み能力は吐き出し能力に比べて圧倒的に弱いから

理由1:キャビテーション防止

後半で解説する「ポンプの定番トラブル」の一つである「キャビテーション」を防止するために、吸込側の配管はできるだけ短く、かつポンプを吸込水面に近づけて設置されます。

こちらについては、後半の「ポンプの定番トラブル」で詳しく解説します。

理由2:ポンプの吸い込み能力は吐き出し能力に比べて圧倒的に弱いから

ポンプの重要な真理として、吸い込み能力は吐き出し能力に比べて圧倒的に弱いということがあります。

具体的に説明すると、

吐き出し能力はポンプに付属のモーターやエンジンのパワーを大きくすることで、100mでも1000mでもどこまででも高く押し上げることができます。

しかし、吸い込み能力には限界があり、液体が水の場合は理論上10.3m、現実的には6~7m程度までしか吸い込みで持ち上げることはできません。

ポンプには上記のような真理があるため、ポンプの吸い込み能力の限界を超えるような位置(吸い込み水面よりも極端に高い位置であったり、吸い込み配管が極端に長い位置)に設置しては、そもそもポンプまで液体がたどり着きません。

また、ポンプは吸い込み能力よりも吐き出し能力の方が圧倒的に強いため、ポンプには「なるべく楽に吸わせて、力強く吐き出させる」ことが効率的です。

そのため、ポンプは吸込側の配管はできるだけ短く、かつポンプを吸込水面に近づけて設置されます。

ポンプの吸い込み能力にはなぜ限界があるのか?
→ポンプの吸い込み能力は大気圧の力だから。

ポンプの吐き出しと吸い込みは下記の通り仕組みが異なります。

吐き出しの仕組み: 
ポンプに接続されたモーターやエンジンの力で液体に直接圧力をかけ、力ずくで押し出す。モーターやエンジンのパワーを上げれば、100mでも1000mでも高く押し上げることができる。

吸い込みの仕組み:
ポンプは入り口付近を「真空(低圧状態)」にしているだけで、そこに「大気圧(空気が押す力)」が液体を押し込んでくることで、水が上がってくる

つまり、「吐き出し能力=ポンプに接続するモーターやエンジンのパワー」であるため、パワーの大きいモーターやエンジンを使えば、いくらでも吐き出し能力は大きくなります。

一方、「吸い込み能力=大気圧」であり、大気圧を大きくすることはできないため、吸い込み能力には限界(水の場合は6~7mくらいの高さ)があります。

②ポンプの据え付け(すえつけ)

ポンプの選定と設置場所の検討が終わると、実際にポンプを設置します。

ちなみに、ポンプのよう設備や機器を設置することを「据え付け(すえつけ)」と言います。

この「ポンプの据え付け」で最低限覚えておいてほしい内容は下記になります。

◆最低限覚えておくべき内容

「ポンプは振動するため、基礎コンクリートにアンカーボルトで固定される

ポンプは振動する設備です。なぜならポンプ内部では、モーターやエンジンとつながった羽根車などの部品が高速で回転していることに加え、液体が激しく動いており、それらが大きな振動を発生させるためです。

このポンプの振動は、ポンプに接続された配管に伝わり、配管や配管の先の設備を破損させる可能性があります。

そのため、ポンプの振動なるべく抑える必要があります。

そこでよく行われるのが基礎コンクリートへのアンカーボルト固定です。

基礎コンクリートとは、工場やプラントの床面に施工されたコンクリートで、通常、大型の設備を設置できるよう、頑丈で大きい重量にも耐えられるよう設計・施工されています。

そんな基礎コンクリートにアンカーボルトといわれるボルトを打ち込み、ポンプを固定することで、ポンプは基礎コンクリートが重りとなり振動が抑えられます。

ポンプが設置される場所によっては、床面の基礎コンクリートに据え付けられないこともありますが、その時はポンプの振動に耐えられるような、なるべく頑丈な構造物に設置する必要あるということを覚えておきましょう。

③ポンプに配管を接続

ポンプの設置が終わると、続いてポンプに配管を接続します。

ポンプには「吐出口」と「吸込口」と呼ばれる接続口があるため、この2つの口に配管を接続することになります。

また、この「吐出口」と「吸込口」はポンプによって形状が異なる(フランジ接続だったり、ネジ接続だったりする)ため、その形状に合わせ配管を接続する必要あります。

「配管のネジ接続?フランジ接続?何それ?」という方は、こちらの記事で配管の接続方法について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください!

『必須知識』配管部品の接続方法を解説!ネジ接続・溶接接続・フランジ接続とは?

そして、この「ポンプに配管を接続」で最低限覚えておいてほしい内容は下記になります。

◆最低限覚えておくべき内容

  1. 「吸込側の配管はレジューサーを使用して吸込口より太い配管とすることが多い」
  2. 「吸込側の配管で水平方向の部分にレジューサーを入れる場合、偏心レジューサーを使用する」
  3. 「振動対策としてフレキを入れる」
  4. 「吸込側の配管にはストレーナーを入れる」
  5. 「吐出側の配管には逆止弁を入れる」
<strong>武将</strong>
武将

数が多いですが、順番に解説していきます!

1.「吸込側の配管はレジューサーを使用して吸込口より太い配管とすることが多い」

図のように、吸込側の配管は吸込口の直前にレジューサーを入れて、吸込口の口径よりも太い配管とすることが多いです。

理由としては、先ほども少し出ましたが、後半で説明する「ポンプの定番トラブル」の一つである「キャビテーション」の防止を目的としています。

こちらについては、後半の「ポンプの定番トラブル」で詳しく解説します。

2.「吸込側の配管で水平方向の部分にレジューサーを入れる場合、偏心レジューサーを使用する」

図のように、吸込側の配管が水平方向の場所でレジューサーを使用する場合は同心レジューサーではなく偏心レジューサーを使用する必要があります。

理由としては、後半で説明する「ポンプの定番トラブル」の一つである「エア咬み」の防止を目的としています。

3.「振動対策としてフレキを入れる」

先ほども、説明しましたがポンプは振動する設備です。そして、基礎コンクリートにしっかり固定されていても、完全に振動をなくすことはできないため、多少なりとも接続された配管へ振動は伝わります。

ポンプの振動は接続する配管に伝わると破損等の不具合が発生する可能性があります。

そのため、図のようにポンプに配管を接続する際には、「フレキ」を入れる必要があります。

「フレキ」は柔軟性があるため、ポンプの振動を逃がし、配管へ振動が伝わるのを防ぎます。

「フレキ」についての詳細は下記をご確認ください。

「フレキ」とは?

名称(呼び方)

フレキシブルホース、フレキ、ベローズなど

説明

  • 柔軟性があり、曲げたりすることができる配管部品
  • 動く場所に使用されたり、振動が伝わるのを防ぐために使用される

4.「吸込側の配管にはストレーナーを入れる」

吸込側の配管にはストレーナーを入れることが一般的です。

というのも、ポンプの内部は非常に精密なため、配管内の錆やごみ等の異物がポンプ内に入るとポンプが故障してしまう可能性があります。

そのため、液体と一緒に流れてくる異物を漉しとり、ポンプに入るのを防ぐことを目的として、吸込側の配管にはストレーナーが入っていることが一般的です。

ただし、ストレーナーについては注意も必要です。

ストレーナーの網に異物が溜まって目詰まりを起こすと、液体がスムーズに流れなくなり、後半で説明する「ポンプの定番トラブル」の一つである「キャビテーション」が発生する可能性があります。

そのため、目詰まりしないようストレーナーを常に監視する必要があります。

5.「吐出側の配管には逆止弁を入れる

吐出側の配管には、逆止弁を入れることが必須となります。

逆止弁が無ければ、ポンプの停止によって下記3点の好ましくない事象が起きるからです。

  • 汲み上げた液体が逆流して戻ってくる
  • ポンプに液体が逆流すると、ポンプが逆回転して故障しやすくなる
  • 「ポンプの定番トラブル」の一つである「水撃(ウォーターハンマー)」が発生する可能性がある

上記の好ましくない事象を防ぐために吐出側の配管には逆止弁が設置されます。

「ストレーナー?逆止弁?なんだそれ?」という方は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください!

『必須知識』バルブの知っておくべき種類、動かし方、サイズ、接続方法を解説!

④ポンプへの配線と試運転

ポンプに配管を接続し終わると、次にポンプの動力源となるモーターへ配線を行います。

なぜなら、ポンプの多くはモーターの回転によって動作しているおり、モーターを動かすためには電力を供給する必要があるからです。

そして、この「ポンプへの配線と試運転」で最低限覚えておいてほしい内容は下記になります。

◆最低限覚えておくべき内容

  1. 「モーターの端子をつなぐ位置を間違えると、モーターが逆回転をする可能性があるため注意」
  2. 「モーターの逆回転を防ぐため、一瞬だけスイッチを入れて回転方向が正しいかチェックする」
<strong>武将</strong>
武将

順番に解説していきます!

1.「モーターの端子をつなぐ位置を間違えると、モーターが逆回転をする可能性があるため注意」

ポンプに使用されるモーターの多くは、「三相誘導モーター」です。

別記事でモーターについては詳しく解説するため、ここでは簡単に説明しますが、この「三相誘導モーター」は、3本の電線をモーターの端子につなぐことで動きます。

そして、この3本の電線の内、2本を逆につないでしまうと「三相誘導モーター」は逆回転をする性質があります。

一方、ポンプ内部の部品には決められた回転方向があります。そして、そのポンプ内部の部品が正しい方向に回転することで、ポンプは正常に動作し、性能を発揮します。

そのため、ポンプに接続されるモーターも決められた回転方向に正しく回転させる必要があります。

もし、モーターが逆回転するとポンプ内部の部品が逆回転してしまい、ポンプとしての性能が発揮されないばかりか、ポンプを破損させる可能性あります。

そのため注意が必要です。

2.「モーターの逆回転を防ぐため、一瞬だけスイッチを入れて回転方向が正しいかチェックする」

上述の通り、ポンプに接続されるモーターは、決められた回転方向へ正しく回転させる必要があり、逆回転させてしまうとポンプを破損させる可能性がありました。

そのため、ポンプを運転させる前にモーターの回転方向が間違っていないかチェックすることを目的として、試運転を行います。

その試運転の方法「一瞬だけスイッチを入れて、回転方向が正しいかチェックする」という方法です。

具体的には、ポンプのスイッチを一瞬だけ入れることで、モーターが一瞬だけ回転させ、その方向を読み取って正しいかチェックするという方法になります。

また、こういった一瞬だけスイッチを入れて、一瞬だけ動作させる操作方法を「インチング操作」と言います。

⑤ポンプの始動、運転

ポンプへの配線も完了し、モーターの回転方向も問題ないことを確認したら、いよいよポンプを始動させ、運転させることができます。

始動方法は簡単で、ポンプのスイッチを入れることでポンプを始動させることができます。

ただし、ポンプの始動、運転でも最低限下記の内容は覚えておきましょう!

◆最低限覚えておくべき内容

「ポンプの始動前に呼び水でポンプ本体と吸込配管を液体で満たし、エアを抜く」

「呼び水」とは、図のようにポンプ内部と吸込配管をあらかじめ液体で満たし、エア(空気)を抜く作業のことで、ポンプの始動前には必ず行う必要があります。

「呼び水」を行わない、または呼び水を行っていてもエア抜きが不十分だとポンプは下記のような状態になります。

  • ポンプ内部と吸込側の配管に空気があることで、ポンプを始動させてもポンプ入り口付近が真空にならず、液体を吸い込むことができない
  • エア抜きが不十分で、吸込側の配管にエアの塊が残っていると、後半で説明する「ポンプの定番トラブル」の一つである「エア咬み」が発生する。

上記のような状態になるとポンプは正常に動作することができません。そして、最悪故障するということもあり得るため、ポンプの始動前には「呼び水を行い、ポンプ本体と吸込配管を液体で満たし、エアを抜く」ということを覚えておきましょう!


以上がポンプを使用する時の手順及び、最低限覚えておくべき内容でした。

<strong>武将</strong>
武将

ここまで説明した内容は、プラントエンジニアリングの世界では当たり前のこととして扱われ、この知識を前提に議論が進められていきます。

そのため、ここまで説明した内容は業務を進めていくうえで最低限必要なレベルとなりますので、しっかり頭に入れておきましょう!

ポンプの使用手順と最低限覚えておくべき内容
  1. ポンプの選定と設置場所の検討
    • 「吸込側の配管はできるだけ短くして、ポンプを吸込水面に近づけて設置する」
  2. ポンプの据え付け(すえつけ)
    • 「ポンプは振動するため、基礎コンクリートにアンカーボルトで固定される」
  3. ポンプに配管を接続
    • 「吸込側の配管はレジューサーを使用して吸込口より太い配管とすることが多い」
    • 「吸込側の配管で水平方向の部分にレジューサーを入れる場合、偏心レジューサーを使用する」
    • 「振動対策としてフレキを入れる」
    • 「吸込側の配管にはストレーナーを入れる」
    • 「吐出側の配管には逆止弁を入れる」
  4. ポンプへの配線と試運転
    • 「モーターの端子をつなぐ位置を間違えると、モーターが逆回転をする可能性があるため注意」
    • 「モーターの逆回転を防ぐため、一瞬だけスイッチを入れて回転方向が正しいかチェックする」
  5. ポンプの始動、運転
    • 「ポンプの始動前に呼び水でポンプ本体と吸込配管を液体で満たし、エアを抜く」

ポンプの定番トラブル

ここまでで、ポンプの使用方法を解説してきました。

ポンプをどのようにすれば使用することができるかが、ある程度分かったのではないでしょうか?

ここからは、ポンプで頻繁に発生するトラブルであったり、業務の中でよく耳にするポンプのトラブルといった、まさに「ポンプの定番トラブル」を皆さんが最低限知っておくべき内容に絞って解説します!

早速ですが、皆さんが知っておくべく「ポンプの定番トラブル」は下記になります。

ポンプの定番トラブル
  • キャビテーション
  • エア咬み
  • 水撃(ウォーターハンマーともいう)
  • モーター過負荷
<strong>武将</strong>
武将

それぞれについてトラブル内容、原因と対策を順番に解説していきます!

キャビテーション

トラブル内容

ポンプ内部で液体に気泡が発生する現象。気泡が発生することにより、下記のようなトラブルが発生する。

  • 発生した気泡が破裂した際に生じる衝撃波により、ポンプ内部の部品を損傷させたり、異音や振動が発生する
  • 発生した気泡が流体の動きを妨げ、吐出する液体の流量や揚程が低下する。

原因と対策

キャビテーションが起こる原因は、ポンプ内部で液体の圧力が、「ある一定の圧力」を下回ると気泡が発生する。

<strong>武将</strong>
武将

もう少し嚙み砕いて説明すると、要するに、「液体の圧力が低くなることで気泡が発生する」ということです。

では、なぜ液体の圧力が低くなるのでしょうか?その理由は主に下記3つです。

原因①吸込側の配管の口径が狭い

  • 口径が狭い配管に液体を通すと、摩擦がより強くなり液体の圧力が徐々に低下していく
  • ポンプ内部に入ると必ず一度圧力が下がるため、その時に「ある一定の圧力」を下回り、キャビテーションが発生する

原因①の対策

  • 吸込側の配管の径を太くして吸込口の直前でレジューサーを入れてポンプの吸込口に接続する
    • 配管の口径を太くすることで、液体にかかる摩擦を軽減することができる
    • ←上述している「③ポンプに配管を接続」の「最低限覚えておくべき内容」の一つ!

原因②吸込水面が低い

  • ポンプの設置場所に対して吸込水面が低すぎると、ポンプの吸込能力(=大気圧)によってギリギリ何とかポンプに液体がたどりついたとしても、液体の圧力は相当低くなっている
  • ポンプ内部に入ると必ず一度圧力が下がるため、その時に「ある一定の圧力」を下回り、キャビテーションが発生する

原因②の対策

  • ポンプの設置場所を吸込水面の近くにして、吸込側の配管を短くする
    • ポンプの設置場所を吸込水面の近くにすることで、ポンプの吸込能力(=大気圧)に余裕がある状態で液体がポンプにたどり着くため、液体の圧力が高い状態になる。
    • また、吸込側の配管を短くすることで、液体に摩擦がかかる区間が短くなり、液体の圧力が高い状態を維持できる
    • ←上述している「①ポンプの選定と設置場所の検討」の「最低限覚えておくべき内容」の一つ!

原因③吸込側の配管のストレーナーが目詰まりを起こしている

  • ストレーナーを通過するときに液体の圧力が低下する
  • ポンプ内部に入ると必ず一度圧力が下がるため、その時に「ある一定の圧力」を下回り、キャビテーションが発生する

原因③の対策

  • ストレーナーの目詰まりを解消し、目詰まりしないよう常に監視する
    • ストレーナーが目詰まりを解消することで、ストレーナーを通過しても液体の圧力が低下しない
    • ←上述している「③ポンプに配管を接続」の「最低限覚えておくべき内容」の一つ!

原因④液体の温度が高い(←「ある一定の圧力」が低くなる原因)

  • 温度が高いと「ある一定の圧力」がさらに低くなるため、少しの圧力低下でも気泡が発生しやすくなる
  • ポンプ内部に入ると必ず一度圧力が下がるため、その時に「ある一定の圧力」を下回り、キャビテーションが発生する
<strong>武将</strong>
武将

缶ビールを開けるとき、ぬるい状態だと泡がたくさん吹き出てきたという経験をしたことはありませんか?

これと同じ原理で、液体は温度が高いと気泡が発生しやすくなります。

原因④の対策

  • 温度を下げる
    • 温度を下げることで「ある一定の圧力」が高くなるため、気泡が発生しずらくなる
<strong>武将</strong>
武将

キャビテーションはポンプのトラブルとしては定番中の定番であり、場合によってはポンプを故障させるため、非常に重要度が高いトラブルです。

エア咬み

トラブル内容

液体がエア(空気)を巻き込んでポンプに流れ込んでしまう現象。ポンプ内部にエアが入り込むことで下記のようなトラブルが発生する。

  • 吐出する液体の流量や揚程が低下する。最悪の場合、液体が送り出されなくなる(容積型ポンプでも同様。容積型ポンプが破損リスクが高い)
  • 吐出側の圧力計が振れる(吐出側の液体の圧力が安定しない)
  • ポンプ内部で液体による潤滑や冷却が行われず、ポンプ内部の部品が破損する

原因と対策

エア咬みが発生する原因は、何かしらの理由で吸込側の配管にエア(空気)が入り込み、ポンプにエアの塊が一気に流れ込むことで発生する。

<strong>武将</strong>
武将

では、なぜ吸込側の配管にエア(空気)が入り込むのでしょうか?

その理由は主に下記4つです。

原因①吸い込み側の配管の不備と呼び水不足

  • 図のような鳥居配管になっていたり、水平方向の配管で同心レジューサーが使用されていいる状態の配管で、呼び水が十分に行われていないと、配管の凸部にエアが溜まり、エアの塊が生成される。
  • 何かの拍子で、生成されたエアの塊がポンプに流れ込むとエア咬みが発生する

原因①の対策

  • 水平方向の配管でレジューサーを使用する場合は、偏心レジューサーを使用する。
    • 偏心レジューサーを使用することで、凸部がなくなり、エアが溜まりにくくなる。
    • ←上述している「③ポンプに配管を接続」の「最低限覚えておくべき内容」の一つ!
  • 呼び水を十分に行う

原因②ユニオン部やフランジ部から空気を吸い込んでいる

  • 吸込側の配管は負圧状態になっているため、継手やフランジ部に微細な隙間があると、配管外の空気を吸い込んでしまう。

原因②の対策

  • ユニオン部やフランジ部の増し締め
    • ユニオンやフランジのボルトを締め直すことで、微細な隙間をなくし、エアの入り込む経路をなくす

原因③スタート地点のタンクの水位が下がりすぎている

  • スタート地点のタンクの水位が下がりすぎていると、タンク内の吸込配管の入り口付近で渦が発生し、液体がエアを巻き込んで配管内に流れ込んでしまう

原因③の対策

  • スタート地点のタンクの水位を高く保つ
    • タンク内の吸込配管の入り口付近で渦が発生するのを防ぐ
<strong>武将</strong>
武将

キャビテーショントエア嚙みの主な違いは、気泡の中身です。

キャビテーションによる気泡:送り出す液体の蒸気

エア噛みの気泡:外部の空気(←送り出す液体とは異なる)

    水撃(ウォーターハンマーともいう)

    トラブル内容

    配管内の液体の流れが急激に変化(急に止まったり、急に流れ出したり)することによって巨大な衝撃波が発生する現象。水撃による衝撃波で、配管が破裂したり、ポンプやバルブが割れる可能性がある、非常に危険なトラブル。

    原因

    水撃が発生するメカニズムとしては、液体の流れるスピードが急激に落ちることで非常に大きな圧力エネルギーに変換され、衝撃波が発生する。

    <strong>武将</strong>
    武将

    では、どのような時に液体の流れるスピードが急激に落ちる事象が発生するのでしょうか?

    ポンプに関しては、下記2点の状況で水撃が発生します。

    1. ポンプの急始動
      • ポンプが急始動すると、猛烈な勢いで吐出側の配管に液体が流れ込みます。その際に、吐出側の配管に90度エルボなどの急な曲がり角があったり、配管の末端があると、猛烈な勢いを持つ液体が衝突し、大きな衝撃が発生します。
    2. ポンプの急停止
      • ポンプが急停止すると、既に吐出された液体は慣性によって先へ進む一方、後続の液体が吐出されなくなることで、ポンプの吐出口付近に真空が発生し、その真空に引き戻された液体が衝突することで、大きな衝撃波が発生します。
      • このように液体の慣性によって液体の流れがぶつ切りされ、真空が作られる現象を「水柱分離」といいます。

    対策

    ポンプの運転に伴う水撃は、ポンプの急始動・急停止が原因で発生する。そのため、下記の対策が有効。

    • インバーターを使用して、ポンプに接続されているモーターの回転速度をコントロールし、始動時や停止時にはモータの回転速度を緩やかに変化させていく。
      • インバーターはモーターの回転数をコントロールできる機器
      • 緩やかに始動や停止を行うことで、液体の流れるスピードも緩やかに変化し、衝撃波の発生を防ぐことができる

    モーター過負荷

    トラブル内容

    モーターに能力を超えた負荷がかかり、モーターに定格以上の電流が流れる現象。

    モーター過負荷となると、モーターを守るために配線経路上に設置された保護装置(サーマルリレー)が作動して電気を遮断し、モーターを停止させる。(=ポンプ停止)

    <strong>武将</strong>
    武将

    サーマルリレーは設定した電流値よりも高い電流値が流れると自動的に電気を遮断する電気部品です

    原因

    モーター過負荷となる主な原因として下記が挙げられる。

    • 過大流量
      • ポンプは吐出側の配管の抵抗が小さすぎると液体を送り出しすぎる特性がある。
      • しかしポンプに接続されたモーターは過大流量を送り出すには非常に大きなパワーが必要になり、モーター過負荷が発生する。
    • 液体の粘度、比重が設計時よりも高い
      • ドロドロしていたり、重量が重い液体を送り出すには、モーターはより大きなパワーを必要とする。
      • そのため液体の粘度や比重が設計時の想定を超えている場合、モーター過負荷が発生する。
    • ポンプ内部に異物が挟まり回転の抵抗になっている
      • モーターはその抵抗に打ち勝って回転しようとするため、モーター過負荷が発生する

    対策

    モーター過負荷に対しては下記の対策が有効

    • 吐出側の配管のバルブを少し閉めて、吐出される流量を減らす
      • 原因が過大流量の場合に有効
    • モーター過負荷とならないくらいの、より強力なモーターに交換する
      • 液体の粘度、比重が設計時よりも高いが原因の時に有効
    • ストレーナーを設置して、ポンプ内に異物が入り込むことを防ぐ
      • ポンプ内部に異物が挟まり回転の抵抗になっていることが原因の時に有効
    <strong>武将</strong>
    武将

    サーマルリレーの設定値が低すぎることで、モーターの負荷が能力を超えていないにも関わらず、モーター過負荷として電気を遮断してしまう場合もあります。

    モーター過負荷が発生した場合には、サーマルリレーの設定値が適正化も確認するようにしましょう!

    まとめ

    今回は、皆さんがポンプについてのより詳細な知識(業務に求められる水準の知識)を習得できるよう、ポンプの使用方法を具体的に解説するとともに、ポンプを使用する上で最低限知っておくべきポンプの定番トラブルを解説しました!

    ✔ 本記事の振り返りポイント

    ポンプの使用手順と最低限覚えておくべき内容

    1. ポンプの選定と設置場所の検討
      • 「吸込側の配管はできるだけ短くして、ポンプを吸込水面に近づけて設置する」
    2. ポンプの据え付け(すえつけ)
      • 「ポンプは振動するため、基礎コンクリートにアンカーボルトで固定される」
    3. ポンプに配管を接続
      • 「吸込側の配管はレジューサーを使用して吸込口より太い配管とすることが多い」
      • 「吸込側の配管で水平方向の部分にレジューサーを入れる場合、偏心レジューサーを使用する」
      • 「振動対策としてフレキを入れる」
      • 「吸込側の配管にはストレーナーを入れる」
      • 「吐出側の配管には逆止弁を入れる」
    4. ポンプへの配線と試運転
      • 「モーターの端子をつなぐ位置を間違えると、モーターが逆回転をする可能性があるため注意」
      • 「モーターの逆回転を防ぐため、一瞬だけスイッチを入れて回転方向が正しいかチェックする」
    5. ポンプの始動、運転
      • 「ポンプの始動前に呼び水でポンプ本体と吸込配管を液体で満たし、エアを抜く」

    ポンプの定番トラブル

    • キャビテーション
    • エア咬み
    • 水撃
    • モーター過負荷

    上記の内容を理解しておくことで、ポンプについてのより詳細な知識(業務に求められる水準の知識)を習得することにつながります。

    その結果、皆さんは、業務の中で行われるポンプの専門的な会話にもついていけるようになります!

    今後もポンプに関するを記事を皆さんが最低限知っておくべき内容を明確にして解説していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!

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