
プラントエンジニアリング(EPC)の調達(P)はプラントに必要なものを買う工程ということであってる?

プラントエンジニアリング(EPC)の調達(P)では、具体的にどういう業務が行われているのかよく分かっていない
皆さんは、上にある過去の私のように、
「プラントエンジニアリング(EPC)における調達工程(P)が具体的にどのような工程なのかよく分かっていない」
という状態ではないでしょうか?
調達工程(Procurement)は、設計工程(Engineering)と建設工程(Construction)をつなぐ「EPCの要(かなめ)」であるため、それを理解することは、プラント建設プロジェクト全体を理解するうえで、非常に重要です。
そこで本記事では、調達工程が具体的にどのような工程か理解できるよう、プラントエンジニアリングにおける調達工程の役割と、その役割を果たすために調達工程では具体的にどのような業務が行われているかを解説します。
この記事で分かること
- プラントエンジニアリングにおける調達工程の役割が分かる
- 調達工程で具体的にどのような業務が行われているかが分かる
そして、
- プラントエンジニアリングにおける調達工程が具体的にどのような工程なのか理解できる
その結果、
- プラント建設プロジェクト全体の解像度が劇的に上がる
- 調達が文系・未経験者でも活躍できる領域であることが分かり、自信とキャリアの展望を持つことができる

文系出身で現在、プラントエンジニアリング業界の調達部門で働く武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
プラントエンジニアリングにおける調達(Procurement)が果たす役割

皆さんは「プラントエンジニアリング(EPC)における調達工程(Procurement)の役割は何か?」と聞かれたら、どのように答えますか?
「調達工程の役割は、ものを買うこと」と答える方もいるかもしれません。
この表現は間違っていませんが、調達工程の役割としては不十分です。
では、調達工程はどのような役割を担っているのでしょうか?
プラントエンジニアリングにおける調達工程の役割は次の二つです。
- プラント建設に必要な物・人・輸送のすべてを手配する役割
- プラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期をコントロールする役割
どういうことか?それぞれ解説していきます。
「EPCってなに?」という方は、こちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。
現役文系社員が解説!プラントエンジニアリングとは?工程と業界の仕組みについて
「そもそも、プラントって何?具体的にどんなものかあまり分かっていない」という方は、こちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください
役割①「プラント建設に必要な物・人・輸送のすべてを手配する役割」

プラント建設に必要な物・人・輸送のすべてを手配する役割
プラントを建設するためには膨大な数の「物」が必要となります。
例えば、ブラントはたくさんの設備が必要となるため、それらの設備が必要になりますし、その設備を作るために、多種多様な部品(ボルトや鋼材、バルブ、断熱材などなど)も必要になります。さらに、実際に建設工事を行うには、クレーンやフォークリフトといった重機類も必要になりますし、仮設事務所も必要になります。

調達工程では、上記のようなプラントエンジニアリングに必要となる「物」のすべてを手配します。
しかし、これだけではありません。
プラントを建設するには、上記のような「物」を現地まで運び、「物」を使って現地でプラントを作り上げる必要があります。
そのため、調達工程では、「物」を運ぶために、トラックや船便、航空便などの「輸送」も手配をする必要があります。

そして、「物」を使って現地でプラントを作り上げるための多様な工事業者、つまり「人」も必要になるため、手配します。

このように、プラントエンジニアリングの調達工程では、プラント建設に必要な「物」・「人」・「輸送」のすべてを手配するという重要な役割を果たしています。
ちなみに、「手配する」とは、「物事を準備する」という意味があります。
ただ単に、買うだけではなくプラント建設を行うために準備をするという意味が含まれているということを覚えておきましょう。
どのような準備をするのかは、これから具体的に解説していきます!
役割②「プラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期をコントロールする役割」
プラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期をコントロールする役割
品質 (Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)は、「QCD(キューシーディー)」ともいわれ、一般的に、企業や商品の競争力(競合企業や競合商品に勝つ力)を評価する重要な3つの要素とされています。
そして、プラントエンジニアリングにおいては、プロジェクトの成功を左右する3大要素となります。
なぜQCD がプロジェクトの成功を左右するかというと、プラントエンジニアリングを行うエンジニアリング企業にとって、下記の条件がプロジェクトの成功条件になるからです。

顧客との契約で定められた品質を満たすプラントを、顧客との契約で定められた納期までに納入し、プロジェクトを通して利益を出す(=予算内にコストを収める)こと
ただ単に、プラントを完成させたとしても、顧客との契約で定められた品質や納期が守られていなければ、顧客の信頼を失ったり、違約金を支払う必要があったりするため、これではプロジェクトの成功とは言えません。
また、品質や納期を確保して顧客との契約を守ったとしても、コストが膨らみ、予算を超えてしまうと、プロジェクトを通して赤字(顧客から報酬を受けとっても利益が出ない)となるため、やはりプロジェクトの成功とは言えません。
赤字となる額によっては、企業の存続にもかかわる事態となってしまいます。
そのため、プラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期を管理し、向上させることは、プロジェクトの成功と企業の競争力向上に直結する最重要課題といえます。
「エンジニアリング企業ってなに?」という方は、こちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。
そして、そんなプラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期を、調達工程がコントロールする役割を担っています。
なぜかというと、調達工程は、プロジェクトにおける「品質の大部分が決まる工程」であり、「コストの大部分が決まる工程」であり、「納期の大部分が決まる工程」であるからです。
品質の大部分が決まる工程:
調達工程は、設計工程で作成された図面から実際の物に変える工程であるため、出来上がるプラントの品質の大部分がこの工程で決まる
→いくら設計工程で素晴らしい図面が作成されても、図面から実際の物に変わる調達工程で適切な調達先へ発注されなかったり、適切に製作・検査が行われていないと、建設工事でプラントが完成しなかったり、完成しても品質不良のプラントが出来上がる。(=プロジェクトの失敗)
コストの大部分が決まる工程:
調達工程は、プロジェクトでお金を支払う唯一の工程であるため、この工程での発注金額がプロジェクト全体のコストの大部分を占める

→発注先が適切に選定されなかったり、適切に価格交渉が行われていなければ、発注金額がかさみ、簡単にコストは予算を超えて赤字プロジェクトとなる(=プロジェクトの失敗)
納期の大部分が決まる工程:
調達工程は、プラント建設に必要なすべての物・人・輸送を手配するため、プロジェクト全体の納期の大部分はこの工程で決まる
→プラント建設に必要な物・人・運搬のどれかが遅れれば、プラント建設は行えず、プロジェクト全体の納期も遅延する。(=プロジェクトの失敗)
以上の通り、調達工程はプロジェクト全体の品質・コスト・納期の大部分が決まる重要な工程であるため、それらをコントロールする役割を担っています。
プラントエンジニアリングの調達工程で行われる業務
ここまででプラントエンジニアリングにおける調達工程が下記2つの役割を担っていることが分かったと思います。
- プラント建設に必要な物・人・輸送のすべてを手配する役割
- プラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期をコントロールする役割
ここからは、この2つの役割を果たすために調達工程では具体的にどのような業務が行われているかを解説していきます。
結論からお伝えすると調達工程では2つの役割を果たすため、主に次の9種類の業務が行われています。


- 全体工程の立案と修正(←エンジニアリング企業が主体)
- 購入仕様書の確定と引合い先の選定(←エンジニアリング企業が主体)
- 引合い・見積査定・価格交渉・発注(←エンジニアリング企業が主体)
- 設備メーカーの設計・調達業務(←設備メーカーが主体)
- 製作(←機器・部品メーカーが主体)
- 納期管理(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
- 品質検査(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
- 輸送手配(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
- 工事業者の選定・発注(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
それぞれの業務について「誰が」「いつ」「何を」行っているのかを明確にしながら、順番に解説していきます。
「エンジニアリング企業」、「設備メーカー」、「機器・部品メーカー」については、こちらの記事で詳しく解説していますので、まずはこちらの記事をご覧ください。
現役文系社員が解説!プラントエンジニアリングとは?工程と業界の仕組みについて
また、これから解説していく9種類の業務を「誰が」行っているかについても、こちらの記事で解説している「プラントエンジニアリングにかかわる6種類の企業」を前提に解説していきますので、なんだそれ?という方は、まずは上記の記事をご確認ください。

①全体工程の立案と修正

誰が
- エンジニアリング企業のPM(プロジェクトマネージャー)

PMはプラント建設プロジェクトの総責任者のことです。PMはプロジェクトのEPC(設計、調達、建設工事・試運転)のすべてを統括します。
いつ
全体工程の立案:プラント建設プロジェクトを受注してすぐのタイミング
全体工程の修正:プロジェクトの全期間(プラント受注からプラント納入まで)
何を
全体工程の立案
- プラント建設プロジェクト受注後すぐに、プロジェクト全体の工程表を作成する
- 全体工程表には、プラントを納期までに納入するために、「設計はいつまでに終わらせる」、「調達はいつまでに終わらせる」、「建設工事・試運転はいつからいつまでの期間で実施する」などが記載されている
- 全体工程表があることで、何をいつまでに行えばいいのかが分かり、顧客との契約で定めた納期に遅れることなく、プラントを完成させ、引き渡すことできる

全体工程の修正
- 全体工程表作成後も、プロジェクトの進捗状況次第で全体工程表を随時修正していく
全体工程表を修正するタイミングの例:
「電気部品△の納期が想定よりも1年以上かかることが判明したため、△にかかわる設計を優先して進め、△の調達開始時期を前倒しする」

②購入仕様書の確定と引合い先の選定

誰が
エンジニアリング企業の設計部門と調達部門
いつ
設計工程の中盤から調達工程にかけて
ただし、各「物」の手配するタイミングによって、行われる時期が変わる
何を
購入仕様書の確定
- 「物」を調達するために購入仕様書を確定させる
- 購入仕様書は、手配したい「物」の詳細(=仕様)が記載された文書
- 購入仕様書を渡すことで、設備メーカーや機器・部品メーカーへどんな「物」が欲しいか伝えることができる
- 購入仕様書に記載される仕様は、いろいろなことが書かれているが、主に「技術的な仕様」と「商務的な仕様」の2種類に分類できる

技術的な仕様
- 「物」の性能や個数など、設計を進めていく中で決まる内容
- 「技術的な仕様」はエンジニアリング企業の設計部門が決める
商務的な仕様
- 「物」の納期や納入場所など、全体工程表をもとに決まる内容
- 「商務的な仕様」はエンジニアリング企業の調達部門が決める
- 上記の通り、購入仕様書は設計部門と調達部門が協力して、中身を確定させる
- 購入仕様書は手配する「物」それぞれに対して作成する

引合い先の選定
- 購入仕様書を渡して見積依頼する相手(=引合い先)を決める
- 引合い先は、①購入仕様書で定めた品質の「物」を、②納期通りに、間違いなく納入できる企業を選ぶ必要がある
- 引合い先を決めるときも、下記のように設計部門と調達部門が協力して行う
設計部門
技術的な目線で、どの企業なら欲しい「物」を確実に作って納入できるかを検討する
調達部門
過去の調達実績等をもとに、どの企業なら欲しい「物」を納期遅延等のトラブルなく納入できるかを検討する
- 引合い先は、基本的に一つの「物」に対して複数社選定する
- 複数にすることで、相見積もり(あいみつもり;見積を比較すること)ができ、発注金額を低減させることに繋がる
- ただし、以下のような場合は、引合い先を一社しか選定できない(しない)ときもある

③引合い・見積査定・価格交渉・発注

誰が
エンジニアリング企業の調達部門(補助として設計部門も携わる)
いつ
調達工程
ただし、手配する「物」によっては設計工程や建設工事中でも行われる
何を
- 「物」の購入仕様書と引合い先が決まったら、各「物」ごとに「引合い → 見積査定・価格交渉 → 発注」という発注業務が行われる
- 発注業務は、以下の2点を考慮して、各「物」に優先順位をつけ、優先順位の高い「物」から発注業務を進めていく
- その「物」は、発注から納入までに最短でどのくらいの期間がかかるか?
- その「物」は、いつまでに手配する必要があるか?


「物」によってはプロジェクトが始まってすぐのタイミングで発注業務が行われることもあれば、建設工事が始まっている段階で発注業務が行われることもあります!
発注業務①:引合い
- 設計部門と調達部門で選定した引合い先へ購入仕様書を渡し、見積依頼をする(=引合い)
- エンジニアリング企業は世界中の企業へ引合いを行うが、それらの企業は主に「設備メーカー」、「機器・部品メーカー」、「専門商社」の3種類に分類される
発注業務②:見積査定・価格交渉→発注
- 引合い後、引合い先から見積が提出されたら見積査定を行う
- 引合い先から提出される見積には、どの項目にいくら費用がかかっているか、どのような条件で見積を行っているかが記載されている
- それらの見積項目や見積条件が購入仕様書と異なっていないか、見積項目の金額が妥当かを査定する
- 技術的な判断が必要な項目がある場合は、調達部門だけで判断せず設計部門に確認する

- 見積査定後、調達部門は少しでも安く調達できるよう引合い先へ価格交渉を行う
- 複数企業へ引合いを行っていれば、価格交渉がしやすくなる
- 見積査定・価格交渉を通して、品質・価格・納期などを総合的に考慮し、最も適切と思われる引合い先へ発注する
「設備メーカー」、「機器・部品メーカー」、「専門商社」とは?

設備メーカー

機器・部品メーカー

専門商社
「設備メーカー」、「機器・部品メーカー」、「専門商社」については、こちらの記事でも解説していますので是非ご覧ください。
④設備メーカーの設計・調達業務

誰が
設備メーカー
いつ
エンジニアリング企業による発注後
何

- エンジニアリング企業から発注された設備メーカーは、専門性の高い設備のEPC(設計、調達、建設工事・試運転)のすべてを請け負うため、まず設備の設計から始める
- 設備を設計する時には、エンジニアリング企業の購入仕様書に記載された内容を満たせるよう、設計を行う必要がある。
- 設計が進むと、設備の根幹となる部分の図面を客であるエンジニアリング企業へ提出して確認してもらい、「この設計の設備でOK!」という承認を得る。
- 承認を得ると、設備を製作するため、設備メーカーは調達工程の業務を下記のように行う
- 全体工程の立案と修正
- 設備メーカーのPMが、設計からプラント建設の現場へ設備を据え付けるまでの全期間の全体工程表を作成し、随時更新していく。
- 購入仕様の確定と引合い先の選定
- 設備メーカーの設計部門と調達部門が協力し、設備を作るために必要な「物」の購入仕様を確定し、引合い先を選定する
- 引合い・見積査定・価格交渉・発注
- 設備メーカーの調達部門が機器・部品メーカーに対して引合い、見積査定・価格交渉を行い発注する
- 設備本体は設備メーカーの図面で受託製造を行う製缶・加工業者へ発注し、設備に取り付く汎用機器や部品は汎用機器・部品メーカーに発注される

設備メーカーはエンジニアリング企業と同様にEPCすべてを請け負う業態のため、業務内容自体は同じ。ただし、扱う金額や物量の規模が異なります
⑤製作

誰が
機器・部品メーカー
いつ
エンジニアリング企業、設備メーカーによる発注後
何を
- エンジニアリング企業や設備メーカーから発注された機器・部品メーカー(製缶・加工業者と汎用機器・部品メーカー)は、契約した納期までに「物」を納入できるよう製作を行う

製缶加工業者、汎用機器・部品メーカーで製作の進め方が異なるため、分けて説明します!
製缶・加工業者
- 製缶・加工業者は、エンジニアリング企業や設備メーカーが設計した設備本体や部品を、図面通りに製作する企業(←受託製造)
- そのため、受注時に購入仕様書と合わせて図面も受け取る

- まず、図面を確認し、製作に必要な材料の種類と数量を確認する
- 例:「図面を見る感じ、この階段を作るにはチャンネルと縞鋼板と鋼管が必要だな」
- プラントの設備は基本的に鋼材で製作されている
- 必要な材料が分かったら、地域の鋼材問屋などから材料を調達する

- 材料が揃ったら、切断・穴あけ・溶接・機械加工などを行い、図面通りに製作する
- 製缶・加工業者の製作の詳細は別記事で解説する
汎用機器・部品メーカー
- 汎用機器・部品メーカーは、バルブ、継手、計器類、モーターなど、自社で型式が決まっている機器や部品を製造する企業
- 購入仕様書の内容を満たす自社製品を製作し納入する
- 製缶・加工業者と違い、図面は受け取らないが、受注後すぐ製作に入れるわけではない
- 汎用機器・部品メーカーは受注後、納入する製品の図面を提出し、客であるエンジニアリング企業や設備メーカーから「この図面の製品でOK」という承認を得る
- 承認を得た後に、製品の製作に入る


製作方法は製品ごとに異なるため一概には説明できませんが、「製作前に承認を得る工程がある」ということを覚えておきましょう!
⑥納期管理

誰が
エンジニアリング企業や設備メーカーの調達部門
いつ
機器・部品メーカーの製作が行われているタイミング
何を
- エンジニアリング企業や設備メーカーの調達部門は、発注した機器・部品メーカーが納期通りに製品を納入できるか確認するため、製作状況を適宜確認する。
- 機器・部品メーカーへ製作状況を確認した結果、納期遅延が見込まれる場合には、対応策を検討する。
対応策の例
⑦品質検査

誰が
エンジニアリング企業や設備メーカーの検査員
いつ
機器・部品メーカーの製作が行われているタイミング
何を
- エンジニアリング企業や設備メーカーは、機器・部品メーカーが購入仕様書に記載した品質基準をクリアできているか検査を行う
- 検査方法は主に次の2種類が存在する
立会検査
- 発注者であるエンジニアリング企業や設備メーカーの検査員が、実際に機器・部品メーカーの工場を訪問し、実物を検査する方法
- 購入仕様書や図面通りに製作されているか確認するため、「寸法検査」や「漏れ検査」などを行う
書面検査
- 機器・部品メーカーから提出された検査成績書を確認する検査方法
- 検査成績書には、機器・部品メーカーが自社で検査した結果が記載されている
- 発注したすべての「物」を立会検査するのは物理的に不可能なため、一定の品質が保たれやすい汎用機器・部品は検査成績書の確認のみで検査を済ませることが多い
- 例:ボルトやナットをすべて立会検査するのは費用対効果が悪いため、書面検査で済ます

- どのような検査を行うか、いつ検査を行うかは購入仕様書に記載しておき、機器・部品メーカーと事前に合意しておく必要がある
- エンジニアリング企業の検査員が、設備メーカーに対して、発注した設備の立会検査を行う場合もある
- その際は、エンジニアリング企業の検査員が設備メーカーと一緒に、設備メーカーが発注した機器・部品メーカーの工場へ訪問し、立会検査を行う

⑧輸送手配

誰が
エンジニアリング企業や設備メーカーの調達部門
いつ
調達工程
何を
- 「輸送」の手配を行うために以下の業務が行われる。
- 輸送計画を立てる
- 調達部門が調達した「物」をいつ、どこに、どうやって運ぶかを計画する
- PMが立案した全体工程表をもとに輸送計画を立案する
- 計画に沿って運送会社、海運会社、航空会社へ輸送を依頼する(発注する)
- 輸送に必要な梱包を行う(梱包業者へ依頼する)
- 輸送する「物」や輸送手段に合わせて必要な梱包を行う
- 例:海外へ油種する場合、輸出用の梱包を行う必要がある
- 輸送に必要な手続きを行う(通関手続き、重量物の輸送ルート確保など)
- 海外へ輸出する場合は、通関手続きを進める必要がある
- 巨大の設備を陸路で運ぶ場合には、警察等へ許可申請を行う必要がある
- 実際に輸送を行う

⑨工事業者の選定・発注

誰が
エンジニアリング企業や設備メーカーの調達部門と工事部門
いつ
調達工程
何を
- プラント建設を実際に行う「人」(=工事業者)を調達する
- 「物」を調達するときと同じで、まずは工事版の購入仕様書を作成する
- 工事版の購入仕様書には、以下の内容が記載されている
- 工事現場の場所(どこで工事を行うのか)
- 工事の内容(どんな工事をどこまでの範囲で行うか)
- 現地の状況(現場は工事に必要な電気や水は供給されるか、など)
- 建設工事の工程表
- 支給品リスト
など

- 工事版の購入仕様書は調達部門と工事部門が協力して作成する
- 工事版の購入仕様書を作成後、引き合い先を選定する
- 引き合い先が決まったら、工事版の購入仕様書を渡して見積依頼を行い(=引き合い)、見積が出てきたら査定し、価格交渉を行い、工事業者へ発注する
- プラント建設工事は、土木工事、建築工事、機械器具設置工事、配管工事、電気工事など様々な工事があるため、各工事ごとに専門の工事業者へ工事を依頼する

まとめ
今回は、調達工程が具体的にどのような工程か理解できるよう、プラントエンジニアリングにおける調達工程の役割と、その役割を果たすために調達工程では具体的にどのような業務が行われているかを解説しました。
〇プラントエンジニアリングにおける調達(Procurement)が果たす役割
- プラント建設に必要な物・人・輸送のすべてを手配する役割
- プラント建設プロジェクトの品質・コスト・納期をコントロールする役割
〇プラントエンジニアリングの調達工程で行われる業務
- 全体工程の立案と修正(←エンジニアリング企業が主体)
- 購入仕様の確定と引合い先の選定(←エンジニアリング企業が主体)
- 引合い・見積査定・価格交渉・発注(←エンジニアリング企業が主体)
- 設備メーカーの調達業務(←設備メーカーが主体)
- 製作(←機器・部品メーカーが主体)
- 納期管理(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
- 品質検査(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
- 輸送・現地搬入(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
- 工事業者の選定・発注(←エンジニアリング企業、設備メーカーが主体)
上記の内容を理解しておくことで、プラントエンジニアリングにおける調達工程が具体的にどのような工程なのか分かるようになります。そしてそれは、皆さんのプラント建設プロジェクトに対する解像度を劇的に向上させることにつながります。
その結果、皆さんの今後の学習効率や仕事の質は格段に高まり、プラントエンジニアリング業界で必須の基礎知識を最短距離で身につけることができるようになるはずです!
今後は、プラントエンジニアリングの調達工程で行われる業務の詳細についても解説していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!


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