
プラントってそもそも何?まったく分からない、、

プラントと工場って何が違うの?
皆さんは、上にある過去の私のように、
「プラントって具体的にどんなものなのか、よく分かっていない」
という状態ではないでしょうか?
プラントエンジニアリング業界で働く人にとって「プラント」は、ケーキ屋さんにとっての「ケーキ」のようなもので、知っていて当たり前の存在であり、最も根幹となる存在です。
しかし、プラントエンジニアリング業界に入ったばかりの人の中には、プラントが具体的にどんなものなのか、よく分かっていないという人も結構多いと思います。(私も最初はあまり分かっていませんでした)
そこで、本記事ではプラントがどんなものなのか具体的に理解できるよう、「プラントは何をする場所なのか?(プラントの役割)」と、「プラントの中身はどのようになっているのか?(プラント内の構造)」を解説します!
この記事で分かること
- プラントの役割(プラントは何をする場所なのか?)が分かる
- プラント内の構造(プラントの中身はどうなっているのか?)が分かる
そして、
- プラントの全体像が具体的にイメージできるようになる。
- これから学んでいくプラントエンジニアリングの内容が、プラントのどの部分に当てはまるのかが分かり、知識が点ではなく線でつながるようになる
その結果、
- 今後の学習効率が格段に高まり、プラントエンジニアリング業界で必須の基礎知識を最短距離で身につけることができるようになる

文系出身で現在プラントエンジニアリング業界で働く武将が、自身の経験を踏まえてわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
プラントとは?(プラントの定義)
先に結論をお伝えしますが、「プラントとは何か?」の答えは下記になります。
プラントとは、原材料に化学反応や状態変化を起こさせて製品を製造するための、設備群システム
たぶん皆さん、「ぽかーん、、」「何言ってんだろ」「よくわかんないや、他のサイト見てみよ」となりましたよね?
ですが、他のサイトには行くのはもう少しお待ちください!
これから、上記の「プラントの定義」を以下のように分解して、順番に分かりやすく解説していきます!
「原材料に化学反応や状態変化を起こさせて製品を製造するための、」=プラントの役割
「設備群システム」=プラント内の構造
プラントは何をする場所なのか?(プラントの役割)

皆さんは、上の写真のようなプラントが、いったい何をする場所なのか知っていますでしょうか?
その答えは、下記になります。
プラントは、「原材料に化学反応や状態変化を起こさせて製品を製造する」場所
やはり、何を言っているのかよく分からないと思うので、まずは用語から説明していきます。
「化学反応」とは、簡単に言うと「別の物質に変化すること」です。
例えば、鉄を雨風にさらしておくと写真のように錆が発生しますが、これは化学反応によって「鉄」が「酸化鉄」という別の物質に変化する現象です。

また、「状態変化」とは、簡単に言うと「同じ物質のまま、気体、液体、固体のように状態が変化すること」です。
例えば、水を冷やすと氷になりますが、これは同じ物質のまま「液体」から「固体」へ変化しているため、状態変化が起きている現象です。

プラントでは、原材料に上記のような「化学反応」や「状態変化」を起こさせることで、原料とは異なる性質や機能を持った製品を作り出しています。
例えば、プラントで作り出される製品の代表的なものとして、以下のようなものがあります。

- 鉄鉱石+コークス→鉄
- 原油→軽油、ガソリン、重油、プラスチックなど
- ごみ→焼却灰、熱エネルギー、電力など
ここまでで、プラントは「化学反応」や「状態変化」を原材料に起こさせることで、原材料とは異なる製品を作り出しているということが分かったと思います。
では次に、どのように原材料に化学反応や状態変化を起こさせているかについて説明していきます。
どのように化学反応や状態変化を起こさせているかというと、作る製品によって異なりますが、
原料を熱したり、冷やしたり、別の原料と混ぜたりなどなど、いろいろな処理をする
ことで、化学反応や状態変化を起こさせています。
例えば、主要なプラントの一つである鉄鋼プラントでは、以下のような処理を行い、原材料に化学反応や状態変化を起こさせて、鉄を作っています。


- 高炉という設備で鉄鉱石とコークスを加熱し、化学反応を起こさせて、溶けた鉄(不純物を含む)を作る
- 溶けた鉄(不純物を含む)にいろいろな物質を加えることで化学反応を起こさせて、不純物を除去し、強靭な鉄鋼となるよう成分を調整する
- 成分を調整された溶けた鉄を冷やすことで、液体から固体へ状態変化を起こさせて、固める
- 固めた鉄を再度加熱して、状態変化を起こさせて、製品の形になるよう薄く延ばす
- 完成
上記の鉄鋼プラントは一例のため、プラントによって具体的な処理の方法は異なりますが、「原材料にいろいろな処理を行い、化学反応や状態変化を起こさせて、製品を製造している」という点では、すべてのプラントで共通しています。
つまり、プラントは「原材料に化学反応や状態変化を起こさせて製品を製造する」場所なのです。
ここで、プラントとよく比較される工場(factory)との違いについてもお伝えしておきます。
工場(factory)とプラント(plant)の違いは以下の通りです。
- 工場(factory):自動車や電化製品など身の回りの工業製品
- プラント(plant):石油化学製品、鉄、電力など工業製品に不可欠な素材やエネルギー
- 工場(factory):材料を加工して部品を作り、その部品を組み立てて製品を完成させる
- プラント(plant):原料に化学変化や状態変化を起こさせて、原料とは異なる性質や機能を持った製品を作り出す

プラントはどのような中身になっているのか?(プラント内の構造)

ここまでで、「プラントは何をする場所なのか」については、理解できたと思います。
ですが、上のプラントの写真を見てみると、ぐちゃぐちゃぐちゃ~となっていて、正直、何が何だか訳が分かりませんよね。私も新人の頃は、写真のような風景を見て、ただただ鉄の塊にしか見えていませんでした。
そこで、ここからは、上のプラントの写真を「鉄の塊」ではなく、「設備」として認識できるようになる第一歩として、「プラントの中身はどのようになっているのか?(プラント内の構造)」について解説していきます!
さっそくですが、「プラントの中身はどのようになっているのか?」という問いに対する答えをお伝えします。
プラントの中身は、「設備群システム」。
よく分からないですよね。ご安心ください、詳しく解説していきます。
先ほども、お伝えしましたが、プラントでは、原材料を製品に変えるために、様々な化学反応や状態変化を起こさせる必要がありました。
そして、それらの化学反応や状態変化はどのように起こしているかというと、原材料を熱したり、冷やしたり、別の原料と混ぜたりなどなど、いろいろな処理を行っていました。
つまりプラントでは原材料にいろいろな処理を行う必要があるということですが、それらを一つの設備で行うことはもちろん不可能です。
そのため、プラントには、原材料にいろいろな処理を行うために非常に多くの設備が存在します。(つまり、設備群)
また、効率的に製品を製造するために、非常に多くの設備(設備群)は密接に連携して、プラント全体で一つの大きな生産システムを作り上げています。
そのため、プラントの中身は「設備群システム」といえます。

ですが少し、抽象的でわかりづらいと思うので、
ここからは、①プラントには具体的にどのような設備があり、②どのように密接に連携してシステムを作り上げているかについて説明していきます。
①プラントにはどのような設備があるのか(設備群について)
まずは、プラントにはどのような設備あるかについてですが、大まかに分けると以下の6種類に分類できます。

- プロセス設備
- 配管
- 搬送機器
- 配線・電気部品
- 計装・制御機器
- ユーティリティ設備
プロセス設備

- 原材料を熱したり、冷ましたり、別の原材料と混ぜたりなど、いろいろな処理を行い化学反応や状態変化を起こさせる設備
- この設備で原材料に化学反応や状態変化を起こさせ、目的となる製品を作り出す。
- プラントの主役となる設備

原材料に処理を行い製品を作り出す工程を「プロセス」といい、「プロセス」に直接かかわる設備を「プロセス設備」といいます
- 反応器
- 熱交換器
- 蒸留塔
- 熱処理炉 など
配管

- プラント内の各設備をつなぎ「プラントに必要な流体(液体や気体)」を運ぶための道となる設備
- 配管の中を流れる「プラントに必要な流体」とは、「プロセスに直接かかわる流体」と「設備を動かすために使われる流体」に分けられる
「プロセスに直接かかわる流体」の例:
「原料」、「原料に反応を起こすための流体」、「製品」、「製造過程で出る廃棄物」 など
「設備を動かすために使われる流体」の例:
「加熱するためのバーナーの燃料」、「設備を冷却するための水」、「空圧で動く設備のための高い圧力の空気」 など

※「設備を動かすために使われる流体」=後述の「ユーティリティ」
- パイプ
- 継手
- バルブ
- 配管支持材 など
配管については、『必須知識』全く知らない人向け!配管の全体像を知るための基礎知識 で詳しく解説しています!ぜひご覧ください!
搬送機器

- プラント内の各設備をつなぎ、固体の物質を運ぶための設備
- プラントによっては原料や製品が固体となるものもある
- 固体は配管では運べないため搬送機器を使って設備の間を運搬する
- ローラーコンベア
- ベルトコンベア
- クレーン など
配線、電気部品

- プラント内の各設備を動かすための電力を供給する設備
- また、計装・制御機器からの電気信号を伝達する役割も果たす
- 電気をコントロールすることで、各設備を自動で動かすことが可能になる
- 配線
- 配電盤
- 変圧器(電圧を調整する設備)
- サイリスタ(電流を調整する設備) など
計装・制御機器

- プラント内の設備やプロセスの状態(温度、圧力、流量など)を計測し、制御する役割を持つ設備
- 「制御する」とは、決められた温度や圧力、流量になるよう各設備に指示を与えて調整すること
- 計装・制御機器は人間でいう脳と五感(視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚)のようなもの
- センサー(五感)で設備やプロセスの状態(温度、圧力、流量など)を読み取って、その情報をPLC(脳)に送り、PLCが各設備に指示を出す

例えば、
プロセス設備内の原材料の温度を150℃としたいのに、温度計(センサー)によると130℃であった。PLCはその情報を受け取ると、プロセス設備に「原材料が150℃となるよう、加熱しなさい」という指示を出す。指示を受け取ったプロセス設備は、加熱して原材料の温度を150℃にする。
ざっくり、こういう感じの調整を「制御」という
- センサー(温度計、圧力計、流量計など)
- PLC(ピーエルシー) など
ユーティリティ設備

- 設備を動かすために必要な「ユーティリティ」を供給する設備
- 「ユーティリティ」とは、設備を動かすために必要なインフラのこと
- 「ユーティリティ」の例:水、空気、ガス、熱、燃料など
- 冷却塔
- コンプレッサー
- ポンプ
- ボイラー など
②プラントの設備はどのように連携してシステムを作り上げているのか(システムについて)
では次に、プラントに存在する6種類の設備がどのように連携しているかについて解説していきます。
ただし、どのように連携しているかについてを細かく説明しだすと内容が深くなりすぎるため、今回は、プラント内部の構造を大まかに理解するために最低限知っておくべき3つの仕組みについて解説していきます!
- 製品を製造するためにプロセスの系統が存在する
- 各設備を動かすために電気、ユーティリティの系統が存在する
- 計装・制御機器によって設備とプロセスの状態を管理している

それぞれ順番に解説していきます!
①製品を製造するためにプロセスの系統が存在する

- 図のように、プラントには、原材料から製品を作り出すために、複数のプロセス設備が配置されている(プロセスの系統)
- 原材料はこれらのプロセス設備を順番に通過していくことで、化学反応や状態変化が起こり、製品へと変化していく
- 原材料や製品は配管や搬送機器によって、プロセス設備の間を移動していく
②設備を動かすために電気、ユーティリティの系統が存在する

- 図のようにプラントには、各設備を動かすために、配線・電気部品、ユーティリティ設備が存在する
- 配線・電気部品、ユーティリティ設備は、各設備へ電力やユーティリティ(水、空気、ガス、熱、燃料など)を供給しており、これにより設備は稼働することができる
- 電力は配線を通じて各設備へ供給される
- ユーティリティは配管や搬送機器を通じて各設備へ供給される
③計装・制御機器によって設備とプロセスの状態を管理している

- 図のように、プラントには、各設備にセンサーが取り付けられ設備の状態やプロセスの状態を測定している
- センサーが測定した情報はPLCに送られ、その情報をもとにPLCから各設備へ指示が送られる
- 各設備はPLCの指示に従って動くことで、製品を効率的に製造することができる
- センサーが測定した情報やPLCからの指示は配線を通じて伝達される
ここまで説明した3つの仕組みにより、プラントにある数多くの設備は密接に連携して1つの大きな生産システムを作り上げています。
そしてこの生産システムによって、プラントは効率的に製品を製造することができています。
つまり、プラントの中身は、「設備群システム」といえます。
最後に、「中身はどうなっているのか(内部の構造)」という点でも、プラント(plant)と工場(factory)との違いについてお伝えしておきます。
- 工場(factory):部品を加工するための工作機械や組立用の設備が独立して設置してある
- プラント(plant):6種類の設備が密接に連携することで、プラント全体が一つの大きな生産システムとなっている

まとめ
今回は、プラントがどんなものなのか具体的に理解できるよう、「プラントは何をする場所なのか?(プラントの役割)」と、「プラントの中身はどのようになっているのか?(プラント内の構造)」を解説しました。
〇プラントの定義
プラントとは、原材料に化学反応や状態変化を起こさせて製品を製造するための、設備群システム
〇プラントの役割
プラントは、「原料に化学反応や状態変化を起こさせて製品を製造する」場所
- 「化学反応」とは、「別の物質に変化する」こと
- 「状態変化」とは、「同じ物質のまま、気体、液体、固体のように状態が変化する」こと
- プラントで、化学反応や状態変化を起こさせることで製造される主な製品とその原材料
- 鉄鉱石→鉄
- 原油→軽油、ガソリン、重油、プラスチックなど
- ごみ→焼却灰、熱エネルギー、電力など
- プラントでは、原材料を熱したり、冷やしたり、別の原材料と混ぜたり、などの処理をすることで化学反応や状態変化を起こさせている
- 処理方法の具体例:鉄鋼プラントの処理方法


〇プラント内の構造
プラントの中身は、「設備群システム」。
- プラントには、原材料にいろいろな処理を行うため、非常に多くの設備が存在する。(設備群)
- プラントの設備群は以下の6種類で構成されている
- プロセス設備
- 配管
- 搬送機器
- 配線・電気部品
- 計装機器
- ユーティリティ設備
- プラントでは、効率的に製品を製造するために、非常に多くの設備が以下の3つの仕組みで密接に連携することで、プラント全体で一つの大きな生産システムを作り上げている
①製品を製造するためにプロセスの系統が存在する

②各設備を動かすために電気、ユーティリティの系統が存在する

③計装・制御機器によって設備とプロセスの状態を管理している

〇工場(factory)との違い
- 工場(factory):自動車や電化製品など身の回りの工業製品
- プラント(plant):石油化学製品、鉄、電力など工業製品に不可欠な素材やエネルギー
- 工場(factory):材料を加工して部品を作り、その部品を組み立てて製品を完成させる
- プラント(plant):原料に化学変化や状態変化を起こさせて、原料とは異なる性質や機能を持った製品を作り出す
- 工場(factory):部品を加工するための工作機械や組立用の設備が独立して設置してある
- プラント(plant):6種類の設備が密接に連携することで、プラント全体が一つの大きな生産システムとなっている


上記の内容を理解しておくことで、プラントの全体像が具体的にイメージできるようになります。そして、これから学んでいくプラントエンジニアリングの内容が、プラントのどの部分に当てはまるのかが分かり、知識が点ではなく線でつながるようになります。
その結果、皆さんの今後の学習効率が格段に高まり、プラントエンジニアリング業界で必要な知識を最短距離で身につけることができるようになります!
今後は、プラントに存在する各設備の解説や、プラントエンジニアリング業界の業務についても解説していきますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!

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